工程管理・プロジェクト管理業務を効率化する
プロジェクト管理システム「SynViz S2」
工程管理は納期があるモノ・サービスを取り扱う業種では必ず取り組まれます。工程管理が疎かになると、効率的に製造が行えなくなるだけでなく、納期や品質にも影響を及ぼします。納期のある仕事は基本的に「納期を守って当たり前」「品質は基準を満たしていて当たり前」という考えが根強くあり、それらを損ねた場合は大きく信頼を落とすことになるでしょう。
当記事では工程管理の基本と工程管理表の作成ポイントを解説します。顧客の信頼を損なわないためにも工程管理の詳細を押さえておきましょう。
工程管理とは、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)を最適化し、プロジェクトを成功に導く考え方のことです。
ビジネスの遂行の多くは、共同作業である「プロジェクト」の形で進められています。企業を横断するような大きなプロジェクトがあって、それらが細分化されて個々のプロジェクトとなり、複雑に絡み合ってゴールへと向かいます。
これらプロジェクトには納期があり、その納期から逆算して必要となるタスクを調整してスケジューリングし、その進捗を監視・制御します。
納期だけではありません。コストの上限も定められており、それを超えることは許されません。品質もプロジェクト開始の段階で定められています。納期やコストを守りながら、一定の品質を維持しなければなりません。
だからこそ、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)を最適化し、プロジェクトを管理しなければならないのです。
工程管理は主に下記の3つの理由からその重要性が向上しています。
工程管理の基礎や重要性については、下記のコラムで詳しく解説しています。併せて参照ください。
工程表とは別にイベントや旅行の日程を管理する「行程表(こうていひょう)」と呼ばれるものもあります。
ここでは、工程表と行程表の違いについてご紹介します。行程表とは、ある目的を達成するための大まかなスケジュールや計画を示す表のことです。いつ、どこで、何をするかといった時間的な流れを示すために用いられますが、工程表は作業の手順や進捗状況を管理するために用いられます。以下の表で違いを記載しています。
工程表 |
行程表 |
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目的 |
作業の進捗管理 |
スケジュールの管理 |
記載内容 |
具体的な作業内容、担当者、期限など |
大まかなスケジュール、目的地、イベントなど |
製造業では主に工程表がメインで使われるケースが多いです。その理由として、「納期」を基準に製造予定が組み立てられるケースが多いためです。そのため、納期(期限)を守るための具体的な作業内容を決める際には工程表が使われます。
工程表の作り方は、主に以下の2つがあります。
【 工程表の作り方 】
ゼロから作ることも可能ですが、手間がかかりますし、自社の内容にマッチしなければその都度改善を繰り返さなければいけないためおすすめできません。まずはテンプレートの活用やシステムの導入を検討し、それでも合わないようならゼロから自社向けに完全オリジナルの工程表を作った方が良いでしょう。
エクセルなどの表計算ソフトには、工程表を作成するためのテンプレートが豊富に用意されています。テンプレートを活用すれば、以下の手順で効率的に工程表を作成・運用可能です。
エクセルなどのテンプレートは、手軽に工程表を作成できる便利なツールですが、利用目的や規模に合わせて、適切なツールを選択しなければいけません。なぜなら、大規模な工程管理が必要になるとエクセルだけでは管理の手間がかなり大変になる可能性があるためです。
製品の量が多かったり、関わる担当者が多かったりと、エクセルだけでは運用が難しい場合には次項で開設する工程管理システムの活用を検討してください。
工程管理システムとは、製造業や建設業などのプロジェクトにおいて、工程全体の進捗状況を可視化し、効率的に管理するためのシステムです。
作業のスケジュール、担当者、進捗状況などをリアルタイムで把握し、問題発生時には迅速な対応を可能にします。
その名の通りシステムで構築されているため、工程管理が効率化されている強みがあります。エクセルでは管理しきれない規模のプロジェクトを管理しなければいけない場合は、より効率よく管理できる工程管理システムの利用がおすすめです。
ただし、エクセルでの作成と比較すると導入費用が大きくかかるため、初期投資に予算を出せない場合には導入が難しい可能性があるでしょう。まずはどういった工程管理システムがあるのかを調査し、それぞれの費用感や操作性などを比較し、自社に最適なシステムを選ぶことが大切です。
工程管理は一般的に工程表を使います。工程表を使うことで案件全体を可視化できるだけでなく、関係者全員に齟齬なく工程の全体を認識してもらうことができます。工程表と一言で言っても種類は様々で、それぞれ特徴が異なります。
種類 |
役割 |
メリット |
デメリット |
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バーチャート工程表 |
各作業の開始日、終了日、期間を横棒のグラフで表し、進捗状況を視覚的に把握 |
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ガントチャート工程表 |
バーチャートに作業間の依存関係を追加し、より詳細な工程管理を実施 |
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グラフ式工程表 |
作業の進捗状況を折れ線グラフで表し、全体の進捗傾向を把握 |
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工程管理曲線 |
累積作業量やコストの推移を曲線で表し、進捗状況を予測・管理 |
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ネットワーク式工程表 |
作業間の依存関係をネットワーク図で表し、クリティカルパス※を特定して重点管理 |
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いくつかの工程表をご紹介しましたが、工程表の中で特にポピュラーなものは、バーチャート工程表とガントチャート工程表です。これらの工程表は、視覚的に分かりやすく、比較的簡単に作成できるため、様々な業界で広く利用されています。
以下で解説する各工程表の特徴を把握して、実際に取り入れるならどの工程表が最適か吟味してみましょう。
バーチャート工程表はExcelなどで作成した表の中で項目ごとの作業期間を管理する工程表です。
作成が容易で、誰でも簡単に把握しやすい特徴があります。縦軸は作業項目、横軸は日付を記載して管理するのが一般的ですが、項目を変えて自社に合わせても問題ありません。バーチャートは日付を意識した工程管理であれば非常に使いやすいですが、各作業同士の関係性は把握できない欠点があります。そのため、補足として関係性を記載する欄を作るなどの工夫が必要になる場合もあるでしょう。
バーチャート工程表が適しているケースとして、小規模イベントの準備、オフィスの引っ越し、短期間の製造ラインのスケジュール管理など、単純な作業や短期間で完了するプロジェクトが挙げられます。また、特定の担当者の作業管理にも適しています。
ガントチャート工程表は各作業項目の進捗度合いを管理する工程表で、縦軸に作業名、横軸に進捗率を記載します。
バーチャート工程表と同様に簡単に作成でき、各作業の把握も容易です。ガントチャートは、ヘンリー・ガントによって考案されたチャートです。バーチャートに関連線や進捗率、WBSを加えたもので、より高度なプロジェクト管理を実現するために考案されました。
視覚的に進捗度合いを把握しやすい特徴があり、案件全体の中でどの作業が遅れているかなどをすぐに確認できます。
SynViz S2 画面例
製造業においては、製造ラインの効率化を図るために、ガントチャートが用いられるケースが多いです。
例えば、各工程の作業時間や依存関係、リソースの割り当てなどを可視化することで、生産計画の最適化を図れます。短期間で完了するプロジェクトや単純な作業のスケジュール管理などのケースでは、ガントチャートである必要はないとされています。
グラフ式工程表は、縦軸に進捗度合い、横軸に工期を記載した工程表です。
グラフ式工程表では、各作業の進捗状況と作業間の関連性がわかる特徴があります。作業間の関連性がわかることで、ある作業が遅れている場合に、その作業が他のどの作業に影響を及ぼすかなどが確認できます。
大規模な建設プロジェクトやソフトウェア開発など、プロジェクト全体の進捗状況を俯瞰的に把握したい場合に適しています。上記の表を見ても分かるように視覚的に把握しやすい強みはありますが、一方で詳細な進捗管理の把握までは難しいため注意が必要です。
例えば、個々の作業の進捗状況を詳細に把握する必要がある場合には適していないため、ガントチャート工程表などの方が最適です。
工程管理曲線は、縦軸に累積出来高(金額や数量)、横軸に時間をとり、プロジェクトの進捗状況を曲線で表す管理表です。計画段階で作成された計画曲線と、実際の進捗状況を示す実績曲線が描かれ、両者を比較してプロジェクトの進捗状況を把握します。
大規模な建設プロジェクトで利用するケースが多く、実際に利用することによって遅延や前倒しを早期に発見できるメリットがあります。
また、遅延や前倒しを把握しやすいため、そこから本来のスケジュールに合わせて調整をかけるといったことも計画しやすいです。
ネットワーク式工程表は、作業を丸や四角の記号で表し、作業間の依存関係を矢印で結んだネットワーク図を用いて、プロジェクト全体の工程を管理する表です。プロジェクト完了までの最長経路であるクリティカルパスを特定し、重点的に管理することで、納期遅延のリスクを最小限に抑えられます。
新製品開発など、多数の作業が複雑に絡み合うプロジェクトに適しています。また、部門間の依存関係を明確にし、スムーズな連携を促進するためにも適している工程表と言えます。逆に部門間・作業間の依存関係が少ない場合には、バーチャート工程表やガントチャート工程表の方が適しているでしょう。
工程表を作成する際は、はじめに案件に最適な工程表を選択します。最適な工程表を選択したら、特徴に則って日付や進捗度など工程表に必要な情報を記載していきましょう。バーチャートなら作業項目と日付、ガントチャートなら作業名と進捗率、グラフ式なら進捗率と工期を初めに記載しておきます。
ゼロから作るのが難しい場合は、テンプレートを検索してダウンロードするなどして、既存の出回っているものから工夫して作り上げていくのも一つの方法です。また、工程表を作る際には以下のポイントを意識して作成すると、より使いやすい工程表が完成します。
【 工程表作成時のポイント 】
工程表は管理者だけが利用するものではありません。現場で携わる人など全員が理解できるように作らないと、うまく活用ができずに工程管理が機能しないでしょう。また、現場によっては紙に印刷して利用するケースもあるかと思います。
そのようなケースでも対応できるように、印刷時のレイアウトも意識して作成すると柔軟に利用しやすいです。
工程管理を行う際は各工程・作業の区分を正確に分けることが重要です。各工程を正確に分けられないと、工程表の記載が曖昧になったり進捗度合いが把握しづらくなったりしてしまいます。例えば、ガントチャートを使用する際に工程が正確に分かれていないと、塗りつぶした期間が重なってしまい工程が把握しづらくなることもあります。
もし、塗りつぶした期間が重複するなど工程管理に支障をきたす不具合が発生した場合は、作業を再度細分化してみましょう。
把握する工程が増えてしまいますが、その分だけより正確に工程を管理できるようになります。
工程表は管理者が把握するためだけのものではありません。各工程に関わる全ての人が工程を把握することで、効率的な業務遂行が実現します。
だからこそ、工程表は誰がみてもわかりやすいように作成しましょう。
具体的には、表に細かく数値を記載したり、色分けしたりするのがおすすめです。全ての人がじっくりと工程表を眺めることができない可能性も踏まえて、視覚的にわかりやすい表を作りましょう。
工程表は管理者だけが利用するわけではありません。現場の担当者も工程表を確認して各現場の作業にあたるため、確認しやすいように印刷するケースも多いです。このような時に印刷後のデザインがおかしいと、現場の担当者も工程を確認しづらいといった事態にもなりかねないでしょう。
例えば、横に長く作りすぎて全体の文字が小さく印刷されてしまう、何枚にもわたって印刷されるため確認するのに時間がかかる、などが挙げられます。現場の担当者が確認しやすい工程表を作成することを意識することが重要です。
この資料では、工程管理を効率化する具体的な工程管理手法のテクニックについてご紹介しています。
テクニックについては、弊社の工程管理ツール「SynViz S2」が実装している機能や特長をベースにご紹介していますが、御社が活用されているツールなどでも実現できないか、そのヒントにこの資料をご活用ください。
工程管理は案件の数だけ必要となるため、取り扱う案件が多いほど管理の負担が大きくなります。工程管理をする人材が十分に配置されているのであれば問題ありませんが、そうでなければ管理ツールを利用するのもひとつの方法です。
工程管理システム「SynViz S2」は工程管理・プロジェクト管理業務を効率化するソリューションで、Excelとの連携や、Web APIによる他システム連携が可能なツールです。「SynViz S2」を導入すれば工程管理における「面倒な情報収集」「工程上の負荷の偏り」「工程の計画の遅れ」といった課題を解決できます。
工程管理は工程表を利用して行うのが一般的で、どんな種類の工程表があるのか把握したうえで、自社の案件に適したものを使うことが重要です。さらに、当記事で解説している「作成方法とポイント」を参考にすれば、工程表の活用効率はさらに向上するでしょう。
工程表が多すぎて管理しきれないといった場合は、工程管理システム「SynViz S2」のようなツールを活用し、工程表の管理業務を効率化しましょう。
※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
【 SynViz S2は300社以上のプロジェクト推進に貢献しています 】
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DX(デジタルトランスフォーメーション)やテレワークが潮流となり、プロジェクトの工程管理が大きく変わろうとしています。
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効率的なプロジェクト運営を遂行するためにも、当記事で解説する工数管理の方法などを把握しておきましょう。
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仕事の効率化はもちろん、プロジェクトを成功に導きたい社員やマネージャーの方は、ぜひ参考にして下さい。
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の役割や導入するメリットを解説します。
今後、大規模なプロジェクトを導入する可能性がある企業や、まさに現在進行形でプロジェクトの進行に悩んでいるPMなどは、ぜひ参考にしてみてください。
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進捗率の計算方法や、現場内で頻発する「90%シンドローム」という問題について解説しています。参考にして、プロジェクトの遂行にぜひ役立ててください。
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