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第3回 需要予測の手法
「新商品を需要予測する方法」

需要予測コラム

【 価格や見積もりについてのお問い合わせ 】

需要予測業務に従事されているお客様から「定番の売れ筋商品ならだいたい予測できる。私が知りたいのは新商品の需要予測なのです。」という訴えをよく耳にします。よく売れる商品であれば、多めに在庫していても確実に売れていきます。しかし、売れない新商品を多めに在庫してまったら、たちまち不良在庫になってしまいます。
この「需要予測の手法」連載の2回目「需要予測モデルやシステムを活用するための重要ポイント」において、需要予測システムで高精度な予測のためには、十分な過去の販売実績データが必要であると説明しました。しかし、新商品はそうはいきません。過去の実績データがないか、あっても極めて少ないのです。予測が外れると大変なリスクになります。
そこで、今回は新商品に需要予測システムを適用する3つの方法「グループ予測」「類似モデル」「普及モデル」について説明しましょう。

需要予測方法① グループ予測

「グループ予測」とは、同じ系列の過去の販売実績データを1つにまとめ、その延長線上で需要予測する方法です。
例として図1のようなエアコンの新商品を取り上げてみます。このエアコンCは、新商品だけあって豊富な過去データがありません。まったく無いというのは適用できず、最低でも1カ月あるいは2カ月のデータは必要となり、エアコンCでは2カ月分の販売実績データがあります。
この2カ月分をそのまま入力すると、期間が短いことから移動平均モデルが当てはめられてしまいます。
移動平均モデルは、季節による変動を捉えることができないことから、夏が過ぎても延々と売上が拡大し、まったく使い物になりません。ABCDランクでいえばDランク(予測対象外推奨)となります。
しかし、似通った商品の過去データのあることが多いものです。この例では2シーズン前のエアコンAと1シーズン前のエアコンBがあります。


【図1】新商品に旧モデルの販売実績を活用

そこで、このエアコンABの同シリーズとしてエアコンCを捉え、エアコンABの過去データを結合させて需要予測します。


【図2】同シリーズの過去データを結合させ予測に適用

需要予測方法② 類似モデル

「類似モデル」とは似たような分類の過去データをパターン化して適用する方法です。
方法1の「グループ予測」では、同一シリーズ内でのリニューアルを前提としていましたが、「類似モデル」はシリーズというほど同一性はないものの、似ている商品を流用することになります。「類似モデル」ではパターン化の前処理が必要になるため、アパレルなどパターン化できる多くの過去データがあることが前提となります。
例えば、アパレルの場合では春夏モノABC…、秋冬モノABC…、オールシーズンABC…などがあります。これら需要パターンを「Forecast Pro」へ登録し、その需要パターンを一覧から選択し、総量などのパラメータを指定すると、パターンをベースにした需要予測が得られる仕組みです。


【図3】過去の類似商品の実績データを使用して予測

需要予測方法③ バスモデル(普及モデル)

「バスモデル」とは聞きなれない言葉かもしれません。日本語では普及モデルとも呼ばれています。
方法1「グループ予測」はシリーズと見なせる過去商品、方法2「類似モデル」では類似した商品のあることが前提でした。
しかし、「バスモデル」は参考になる商品がほとんどない場合に使われる方法です。「バスモデル」は斬新な新商品やライフサイクルの短い商品、例えばデジタル家電やスマートフォンのアクセサリーなどによく用いられます。
これらユーザーには2種類があって、真っ先に飛びつく先導的購入者(アーリーアダプター)とそれに追随する追従的購入者(マジョリティ)です。
前者は新商品の告知や宣伝と同時に予約し、いち早く商品を手に入れようとします。後者は前者の口コミを参考に商品を評価し、購入を決定します。この「バスモデル」では最低でも5つの販売実績データが必要です。
例えば、週別予測するのであれば、5週間分の販売実績データが必要です。その5週間分の過去データから「Forecast Pro」がパラメータを算出し、それを割り当てることで需要予測が得られ、セカンドロット生産のベースにすることができます。「バスモデル」は方法2の「類似モデル」と組み合わせて使われることもあります。


【図4】デジタル家電やスマートフォンなどの短サイクル商品に適用


【図5】セカンドロット生産計画ベースライン予測に適用

可視化し監視する

3つの方法「グループ予測」「類似モデル」「普及モデル」を利用することで、過去データの乏しい新発売の商品でも、ある程度は需要予測が可能になります。しかし、これはあくまでも参考程度の数値であり、自動化できるレベルにはいたっていません。
ここで重要なことは、需要予測値が出ても、その予測値と販売実績との乖離を確認しなければならないことです。それも定期的に行うことを推奨します。目視で確認できるように可視化し、監視してください。
需要予測値よりも販売実績が伸びなかった場合、イベントやキャンペーンを展開するといった、積極的な販売促進が必要かもしれません。あるいは生産量を減らし、在庫量を調整するなどの手段が必要となります。予測以上に販売実数が伸びた場合は、生産や発注を加速させなければなりません。
新商品の在庫調整に関しては【在庫管理・需給調整コラム 第2回「新製品の需給調整・需要予測の具体策」(https://www.hitachi-solutions-east.co.jp/products/syncas_psi/column2/vol02/)】で紹介していますので、参照してください。
需要予測はあくまでも予測であり、絶対ではありません。とりわけ新商品の需要予測値は正しかったかどうか、定期的に確認しましょう。


【図6】予測値と販売実績との乖離を確認

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