在庫管理・在庫削減なら「SynCAS PSI Visualizer」
【 需要予測と在庫可視化で効果倍増!在庫削減の基本ノート 】【 価格や見積もりについてのお問い合わせ 】
在庫管理を適切に実施するには、自社の在庫状況だけに目を向けるだけでは不十分です。工場や倉庫をはじめとする上流の在庫から小売といった下流の需要まで、サプライチェーン全体の状況を把握する必要があります。たとえば、小売の需要情報を誤認識したり遅れて把握したりすると、その歪みが上流に行くほどに増幅して大きな過剰在庫や欠品に繋がる「ブルウィップ効果」を引き起こしかねません。
サプライチェーン全体の在庫・需要を把握して適切に在庫を調整する単純な方法は、上流から下流までのデータを取得してExcelによって管理することです。ただ把握する品目が数点ならこの方法で実現できそうですが、数百、数千、数万と品目数が多くなるほど現実的ではなくなります。
今回のコラムではサプライチェーン全体の在庫・需要を把握できないことで実際に起きている問題と、品目数が多くなっても在庫を適正に調整する方法を紹介します。
自社の在庫状況の把握だけであれば、比較的簡単に実現できます。サプライチェーンには主に「工場」「倉庫」「流通センター」「卸売」「小売」という拠点がありますが、自社の在庫状況の把握は自社が管轄する拠点の在庫データを取得するだけで済みますから、難しいことではありません。
一方、サプライチェーン全体の在庫状況を把握するのは難しいものです。サプライチェーンのなかには自社が管轄していない他社が含まれますし、自社の管轄ではあっても独自に在庫を管理している海外の拠点などが含まれるからです。
また、サプライチェーン上の同一拠点でも、在庫調整のレベルが統一されていないために、在庫量を適正化できないこともあります。
それでは実際、在庫管理・在庫調整の現場ではどのような問題が起きているのでしょうか。実例とともに紹介します。
まずは、あるメーカーが向き合っていた課題です。サプライチェーン全体を上流から「工場」「倉庫」「流通センター」「卸売」「小売」とした場合、メーカーは一般的に「工場」「倉庫」「流通センター」の在庫を把握できます。(※上図、ピンク色の囲み部分)
工場の在庫については生産管理システムなどによって把握できますし、倉庫が自社のものであれば倉庫管理システムなどで把握できます。
また、流通センターの在庫についても、メーカー直営であれば簡単に把握できます。
一方でメーカーの管轄外である「卸売」や「小売」の在庫や需要を把握するのは簡単ではありません。メーカーの取引先、つまり他社である卸売や小売は独自のシステムで在庫を管理・把握しているからです。卸売の在庫であればメーカーが管轄する流通センターからの出庫状況によってある程度は推測できますが、小売の需要・在庫の把握はできないと考えるのが一般的と言えます。
このようにサプライチェーン下流の需要・在庫が把握できない状態だと、消費者の需要の増加や減少がなかなかメーカーに伝わってきません。
メーカーは需要の増加や減少を突然知ることになるため、慌てて増産を進めたり減産したりしなければならなくなるのです。
そのため増産や減産が間に合わず、欠品や過剰在庫につながってしまうこともあります。
また、下流の需要・在庫を客観的なデータとして把握できないと、営業部の経験や勘によって主観的に推測した需要によって生産を進めることになりがちです。特にブームや世の中の状況によって一時的に需要が高まった場合は営業サイドから強気の生産依頼が入ることがあり、過剰在庫につながることがあります。
先ほどとは逆にサプライチェーン上流の在庫を把握できないことで起こる問題もあります。メーカーは一般的に自社の管轄である「工場」「倉庫」「流通センター」の在庫状況についてはリアルタイムに近い形で把握できます。ただ、たとえば工場が海外にあるような場合、自社管轄である上流の拠点でも在庫を把握できなくなることがあります。
特に海外工場が独自のシステムで在庫や出荷を管理している場合、日本国内の本社は移送中の在庫の量と到着予定を週次資料などによって把握せざるを得ないことがあります。リアルタイムで移送在庫や到着予定を把握できないため、欠品を恐れて追加生産依頼し、過剰生産・過剰在庫を引き起こしてしまうことがあるのです。
同一種類の拠点でも地域によって在庫管理レベルに差があるために起こる問題もあります以下の事例を見てみましょう。
これは、あるメーカーの「九州」「北海道」「関東」の各拠点が、同一品目Aの在庫をどのように保持しているかを表す図です。ライン(線)とエリア(面)は以下を示しています。
■ スカイブルーの波形線:その時どきの在庫量
■ ブルーの点線:平均在庫量
まず、九州の拠点では需要のブレに対応できるだけの在庫を残し、適正に在庫をコントロールできているものと考えてください。
他方、北海道では在庫量が減る前に入庫があるため、平均在庫量が常に高い数値を示しています。関東では工場やサプライヤーとの関係維持の側面もあるためか、入庫頻度は少ないものの一度にまとまった量が納品されており、在庫量が一時的に大きくなる現象をくり返しています。
ある特定の製品一品目だけにこうしたことが起こるのであれば、Excelで管理して適正な在庫量に調整することは難しくないかもしれません。
しかし、実際には数百、数千、数万という製品で同じようなことが起こり、しかもサプライチェーン全体で発生してしまうことも十分に考えられます。ある拠点での在庫把握・在庫調整が不十分であることは些細なことかもしれませんが、ひいてはサプライチェーン全体に影響を及ぼす現象の原因にもなりかねないのです。
ここまでに挙げた3つの課題を解決するには、自拠点の在庫量だけでなく、上流や下流、あるいは他拠点の在庫・需要状況を把握する必要があります。原始的でシンプルなのはExcelで把握する方法ですが、数百、数千、数万とある品目をすべてExcelで管理するのは現実的ではありません。
「SynCAS PSI Visualizer」は、こうした膨大な品目数の在庫・需要状況をビジュアルとして可視化して一元的に把握するためのソリューションです。数多くある品目の在庫・需要状況をリアルタイムで反映し、問題ある品目について警告するアラート機能も標準装備されています。
それでは、ここまでに挙げた課題をどのように解決できるのでしょうか。
「SynCAS PSI Visualizer」を使うと各拠点の在庫量・需要を時系列で可視化、下流での需要と上流での在庫がマッチしているかをビジュアルで把握できます。
この図はあるメーカーの在庫状況を「SynCAS PSI Visualizer」によって可視化したものです。各ライン(線)やエリア(面)は以下を示しています。
■ 青面:流通センターの在庫量
■ 赤線:工場・サプライヤーから倉庫への入庫
■ 茶線:倉庫から流通センターへの入庫
■ 青線:流通センターから卸売への出荷 (=卸売への入庫)
■ 緑線:卸売から小売店への出荷 (≒消費者の需要)
注目したいのは赤線と緑線です。倉庫の在庫量を示す赤線は、時間を追うごとに大きく増加していることがわかります。一方、消費者の需要を表す緑線も時間を追うごとに増加してはいますが、赤線と比較すると増加量はなだらかです。
つまり、需要は比較的落ち着いて推移しているのに対して、在庫はそれ以上に積み上がっていることがわかります。このままの状態が続くと過剰在庫を抱えることになるでしょう。
小売店の販売データについてはデータ提供会社や小売店との直接契約によって購入しなければなりません。
ただ、消費者の需要を把握して「SynCAS PSI Visualizer」に取り込めば、需要と在庫の差をビジュアルとして一目で把握でき、生産量を調整することができます。その結果、過剰在庫や欠品を防止できるのです。
メーカーは一般的に、サプライチェーン上流である「工場」「倉庫」「流通センター」の在庫については把握できているものです。
しかし、海外工場が独自の在庫把握をしている場合など、日本本社で適切に在庫を把握できなくなることがあります。あるメーカーでは実際、海外工場から移送中の在庫の状況を把握できず、日本の倉庫にある在庫が足りなくなると慌てて生産アクセルを踏むといった対応を取っていたため、結果的に過剰在庫が積み上がる問題が起きていました。そこで導入したのが、「SynCAS PSI Visualizer」です。
グラフの各エリア(面)は以下を示しています。
■ 茶面:日本国内の在庫 (手持ち在庫)
■ 青面:移送中の在庫
注目したいのはグラフの赤丸部分です。日本の倉庫にある手持ち在庫が一時的に欠品しているのがわかります。「SynCAS PSI Visualizer」を導入する前は海外から移送中の在庫の状況がわからなかったため、このタイミングで生産量を増やすことで対応していました。
「SynCAS PSI Visualizer」の導入後は海外工場の出荷データを日本国内でしっかり把握するとともに、在庫状況を可視化。
日本国内の在庫が足りなくなっても移送中の在庫を待つことで対応できることがわかるようになったため、不要な在庫を抱え込むことがなくなりました。また、海外工場への的確な生産指示にもつながっています。
日本国内、世界各国に存在する各拠点が独自のノウハウで在庫を管理することは珍しいことではありません。
各拠点が抱えるそれぞれの事情に対応するために、ある程度は仕方ないことだと言えるでしょう。しかし、そのせいで全体として過剰な在庫が積み上がっていくのであれば問題となる可能性があります。
そこであるメーカーは「SynCAS PSI Visualizer」を導入して、「九州」「北海道」「関東」という各拠点の在庫データを可視化しました。
どの拠点が適正に在庫を調整しているかを確認し、そのノウハウを拠点間で共有するためです。
「SynCAS PSI Visualizer」には適正な在庫の基準値を算出する仕組みがあります。こちらのグラフを確認してみましょう。
【 在庫評価指標で在庫の良し悪しを客観的に判断 】
グラフの各ライン(線)とエリア(面)は以下を示しています。
■ 青面:在庫
■ 赤線:平均在庫水準
■ 青線:推奨安全在庫
青面の在庫数の変動を見てみると、在庫がある程度減るタイミングで大きく在庫を増やしていることがわかります。
赤線はこれを平均化した数値です。その時どきで在庫数は増減していますが、平均すると赤線の水準で在庫を維持しているということです。
しかし、「SynCAS PSI Visualizer」によってデータを分析すると、どれだけの在庫を保持しておけば安全であるかという推奨値を算出できます。これを表しているのが青線です。つまり、実際に保持している平均の在庫数を表す赤線と、「SynCAS PSI Visualizer」によって客観的に算出されて推奨値を表す青線が近いほど、適正に在庫を把握・調整できているということになります。
九州拠点では、品目Aについての平均在庫水準(赤線)と推奨安全在庫(青線)がほぼ一致していました。一方、北海道は平均在庫水準と推奨安全在庫が乖離し、常に高い基準で在庫を保持する状態。関東は大きなロットで在庫が入ってくるため、一時的に在庫日数が多くなったり、回転率が悪くなったりする状態でした。
そこで理想的な状態で在庫を調整できている九州拠点の管理ノウハウを北海道や関東に共有することで、すべての拠点が理想に近い在庫把握・在庫調整ができるようになっていきました。
「SynCAS PSI Visualizer」を活用することで、3つの課題を解決する方法を事例とともに紹介しました。
課題1:サプライチェーン下流の需要を把握できず過剰在庫や欠品につながる
課題2:サプライチェーン上流の在庫を把握できず過剰在庫につながる
課題3:各拠点の在庫管理レベルにバラツキがあることで過剰在庫につながる
「SynCAS PSI Visualizer」はPSI情報を可視化することで、膨大にある品目の在庫を把握し、適切に調整するのに役立つソリューションです。
過剰在庫や欠品が発生する可能性のある品目を警告するアラート機能もあるため、適切な運用によって問題を見逃すことを防止することもできます。
※P:Production(生産)/Purchase(調達), S:Sales(販売)/Shipment(出荷), I:Inventory(在庫)
ご紹介した『SynCAS PSI Visualizer』の詳細な資料は下記よりダウンロードできます。可視化して在庫調整に成功した企業の事例などもございますので、ぜひお気軽にお申込みください。
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