供給計画業務を統合し迅速な意思決定を支援する
統合供給計画ソリューション「scSQUARE ISP」
MRPとはMaterial Requirement Planningの略であり、日本語では「資材所要量計画」と訳されます。一般的には、「構成表」に基づいてモノを作るために必要となる資材・材料・原料の必要量を算出し計画を立てることが該当します。
なお、「構成表」は「レシピ」・「BOM」・「部品表」などとも呼ばれ、企業により呼び名が変わることがあります。「構成表」のイメージとして、カレーを作るときのレシピの例を以下挙げて説明します。
カレーライスを作るうえでは上例のような材料を準備した上で、調理(生産)を進めることになります。必要な量(所要量)の材料(資材)は、何人前を作るかにより変わります。2人前では自宅にある冷蔵庫(在庫)から必要分だけ使用すればよいかもしれませんが、10人前ともなると冷蔵庫にある分だけでは不足し、お店に買い物(調達)をする必要も出てきそうです。
なお、食堂を営むとなると一つの品(カレーライス)の他に、多種多様な品を料理するため、原料の準備をなるべく過不足なく進める必要があります(不足するとメニュー切れによる注文の機会損失、余ると食材の破棄となります)。また、共通する材料もありますし、高額な材料もあります。場合によっては入手するのに時間がかかることもあるかも知れません。
これまで飲食の例を用いて説明しましたが、通常、製造業においてもモノを作る際、必要な資材を調達・手配する上で同じような課題を抱えています。諸々の条件や制約を考えた上で、過不足なくタイムリーに材料を揃えることは、多種多様な品を作る場合、非常に複雑かつ面倒な計算が必要になります。
この計算をシステムにより自動的に行う処理を「資材所要量計算」と呼びます。将来にわたってどのように資材を調達するかの計画が「資材所要量計画(MRP)」となります。以降はMRP関連での一般的なトピック・内容となります。
MRP(資材所要量計画)での所要とは、一般的に製品を作る際、構成要素となる資材がいつ・どの程度必要かを指します。
所要量と必要量は、生産管理や在庫管理の文脈で使用される用語ですが、意味や使われる場面によって異なる解釈があります。
一般的には、『所要量』はある期間内に必要な数量や量を指します。これは、顧客からの需要見込みに基づいて計算されることが多く、生産計画や資材の調達などに影響を与えます。なお、需要見込みは、季節性などの要素を考慮して算出されます。
一方、『必要量』はある製品やサービスを提供するために必要な最低限の数量や量を指します。これは、生産能力や在庫状況、生産プロセスの効率性などに基づいて計算されます。ただし、所要量と必要量の定義や使われる文脈は、企業や組織によって異なる場合があります。
したがって、具体的な状況や文脈に応じて、所要量と必要量の意味を正確に理解する必要があります。
MRP(Material Requirements Planning)とMRP2(Manufacturing Resource Planning)は、生産管理のための計画手法ですが、以下にそれぞれの違いを説明します。
MRP |
MRPは、生産に必要な資材や部品の所要量を算出し、適切なタイミングで調達するための計画手法です。主な目的は、生産計画を立てる際に必要な資材の量やタイミングを把握し、在庫の最適化や生産スケジュールの調整を行うことです。 |
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MRP2 |
MRP2は、MRPの概念を拡張し、生産計画だけでなく、生産全体の管理を行うための計画手法です。MRP2は、生産計画に加えて、生産能力の評価や生産スケジュールの作成、人材や設備の管理、品質管理、財務管理など生産活動に関連する様々な要素を統合的に考慮します。 |
要するに、MRPは資材の所要量の見込みと調達計画に焦点を当てた計画手法であり、MRP2は生産全体の管理を行うための計画手法です。
MRP2は、生産計画だけでなく、生産能力や人材、設備、品質管理、財務管理など、生産活動に関連する様々な要素を統合的に考慮し、効率的な生産活動を実現するための手法です。
MRP(Material Requirements Planning)とJIT(Just-in-Time)は、生産管理の手法です。
JITについての説明は以下となります。[MRPについては上記の内容の通りです]
JIT(Just-in-Timeは、生産に必要な資材や部品を、必要な時に必要な数量だけ供給するための手法です。
主な目的は、在庫を最小限に抑え、生産プロセスを効率化することです。JITでは、生産スケジュールや需要予測に基づいて、資材の調達や生産のタイミングを最適化します。また、品質管理や生産プロセスの改善も重要な要素として取り入れられます。
要するに、MRPは資材の所要量の見込みと調達計画に焦点を当てた計画手法であり、JITは在庫を最小限に抑え、生産プロセスを効率化するための手法です。MRPは販売・需要見込みや在庫情報に基づいて資材の所要量や発注量を計算し、生産計画を立てます。一方、JITは生産スケジュールや需要予測に基づいて、必要な時に必要な数量の資材を供給し、在庫を最小限に抑えます。
MRPは販売・需要見込みに基づいて計画を立てる一方、JITは需要の変動に柔軟に対応するために、生産プロセスや供給チェーンを最適化します。また、MRPは生産計画の立案に重点を置き、JITは生産プロセスの効率化に重点を置いています。
MRP(Material Requirements Planning)とERP(Enterprise Resource Planning)は、生産管理や企業の統合的な管理の手法となります。
ERPについての説明は以下となります。
ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業全体のリソースを統合的に管理するためのシステムや手法です。
主な目的は、企業の各部門や機能を統合し、情報の共有や効率化を図ることです。ERPは、生産管理だけでなく、財務、人事、購買、販売、在庫管理など、企業のさまざまな機能を統合的に管理します。ERPは、リアルタイムの情報共有やプロセスの自動化、効率的な意思決定を支援するために使用されます。
要するに、MRPは生産に必要な資材の所要量の見込みと調達計画に焦点を当てた計画手法であり、ERPは企業全体のリソースを統合的に管理するためのシステムや手法です。MRPは生産計画や資材管理に特化しており、ERPは生産管理だけでなく、企業の各機能を統合的に管理するための包括的な手法です。
MRPは生産活動に関連する資材の管理に焦点を当てていますが、ERPは生産活動だけでなく、財務、人事、購買、販売など、企業のさまざまな機能を統合的に管理します。
資材所要量計画(MRP)と製造資源計画は、生産管理の中で異なる目的と対象を持つ計画です。
製造資源計画についての説明は以下となります。
製造資源計画は、生産に必要な製造資源(人材、設備、機械、工具など)の利用計画を立てるための計画です。
主な目的は、生産活動を効率的に実施するために必要な製造資源の量や配置、スケジュールを決定することです。製造資源計画は、生産能力の評価や生産スケジュールの作成、人材の配置や設備の稼働計画などを基に、製造資源の利用計画を策定します。
要するに、資材所要量計画(MRP)は生産に必要な資材の需要予測と調達計画に焦点を当てた計画であり、製造資源計画は生産に必要な製造資源の利用計画に焦点を当てた計画です。資材所要量計画(MRP)は資材の所要量の見込みと調達計画に基づいて資材の所要量や発注量を計算し、生産計画を立てます。一方、製造資源計画は生産能力の評価や生産スケジュールに基づいて製造資源の利用計画を策定します。
MRPを立案する上で必要となる代表的な情報は以下となります。
各々の情報について、先の例(料理)に置き換えて説明します。
複雑な資材所要量計画(MRP)をITの活用、システム化を図ることが多くの企業で検討され、MRP計算処理を搭載したシステムを導入することで、資材の適切な調達・手配や在庫の適正化につなげているケースも存在します。
一方で、MRPの限界や弱点を認識せずになかなかシステム導入が上手くいかない、もしくは導入しているものの効果が出ない場合も多く見聞きされます。MRPの問題の代表的なものは以下が考えられます。
これらの問題は、容易に解決できない場合が多く、生産計画の立案担当者を中心に頭を悩ませる要因となっています。
なお、最近においては、天災・政治社会情勢等不安定化、原材料費用の高騰などで先の見通しが立てづらく、諸々の変動が常となっています。
このような中で、変化に柔軟に対応できる仕組みやシステムで無いと、逆に仕組みやシステムに振り回される事態になりかねません。
上記のMRPの問題点を解消・緩和しやすいシステムを選択することは非常に重要なポイントとなります。
MRP(Material Requirements Planning)は、生産に必要な資材や部品の需要を予測し、適切なタイミングで調達するための計画手法です。
以下にMRPの計算方法と必要な準備について説明します。
MRPの計算は、以下の手順で行われます。
ネット要求量の計算 |
需要から既存の在庫を差し引いたネット要求量を計算します |
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所要量の計算 |
ネット要求量に基づいて、各製品や部品の所要量を計算します |
発注量の計算 |
所要量と在庫レベルを考慮して、発注量を計算します |
必要な準備 |
MRPを実施するためには、以下の準備が必要です |
マスタデータの整備 |
製品や部品のマスタデータ(製品コード、在庫レベル、リードタイムなど)を整備します |
その他、上記のMRP(資材所要量計画)に必要となる情報を準備する必要があります。資材や部品の調達先との連携を確立し、調達計画を共有します。また、MRPの計算には適切なソフトウェアやシステムが必要です。MRPシステムは、生産計画、調達計画などを自動的に計算し、生産計画を効率的に立てるためのツールとして利用されます。
MRP(資材所要量計画)の策定手順は以下の通りです。
1.ネット要求量の計算 |
需要予測から既存の在庫を差し引いたネット要求量を計算します。 |
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2.所要量の計算 |
ネット要求量に基づいて、各製品や部品の所要量を計算します。 |
3.発注量の計算 |
所要量と在庫レベルを考慮して、発注量を計算します。 |
4.調達計画の作成 |
発注量に基づいて、資材の調達計画を作成します。 |
5.スケジュールの調整 |
資材の調達計画や製品の生産計画を基に、生産スケジュールを調整します。 |
6.監視と改善 |
MRPの実行結果を監視し、必要に応じて改善を行います。 |
以上が一般的なMRP(資材所要量計画)の策定手順です。ただし、企業や業界によって異なる要素や手順が存在する場合もあります。
MRPシステム(Material Requirements Planning System)は、生産管理のための情報システムです。MRPシステムは、資材の需要予測や在庫管理、調達計画などを自動的に計算し、生産計画を効率的に立てるためのツールとして利用されます。
MRPシステムは、以下のような機能を持っています。
在庫管理 |
MRPシステムは、現在の在庫レベルや入出庫の情報を管理し、適切な在庫レベルを維持するための計画を立てます。 |
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資材所要量計算 |
需要予測や在庫情報を基に、製品や部品の所要量を計算します。 |
発注計画 |
所要量や在庫レベルを考慮して、資材の発注計画を立てます。 |
スケジュール管理 |
資材の調達計画や製品の生産計画を基に、生産スケジュールを管理します。 |
MRPシステムは、生産計画や資材管理の効率化、在庫の最適化、納期の遵守などを実現するために利用されます。
また、MRPシステムは、生産部門や調達部門、在庫管理部門などの情報共有や意思決定の支援にも役立ちます。
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