ページの本文へ

Hitachi

日立ソリューションズ東日本

生産計画とは?立て方や必要な理由・立てる際のポイントをわかりやすく解説

供給計画業務を統合し迅速な意思決定を支援する
統合供給計画ソリューション「scSQUARE ISP」

■ コラムメニュー

生産計画とは、原料の仕入れから出荷までの工程における計画のことです。管理部門が生産計画を立てることで各生産工程の担当者が業務に着手する詳細な日程を把握でき、その結果、各工程の担当者間で連携しやすくなります。
担当者間におけるスムーズな連携は、業務効率化にも繋がるでしょう。

本記事では、生産計画の必要性や使われるツール、生産計画の立て方を解説します。生産管理における各業務の効率が悪い、受注に対して余裕のある計画が立てられていない、といった悩みを持つ方は生産計画の立て方を参考に解決を目指しましょう。

生産計画とは

生産計画とは、自社で取り扱う製品・商品を受注した際、いつまでに、どのくらいの量を生産するべきか計画したものです。
製品の製造から出荷までに必要なすべての工程を含めた計画を立てるため、各工程の詳細な計画・日程を把握できます。

例えば、原料調達、製造、検査、組み立て、出荷といった各工程の計画を立てることで、工程ごとの詳細や生産計画全体を可視化することが可能です。結果、各工程に携わる担当者への指示が、計画全体を踏まえたものとなるため、工程間の連携等が効率良くなるでしょう。

製造計画との違い

製造計画とは、製品を製造するプロセスの各種制約を考慮し、効率的かつ実行可能性のある計画を立案することを指します。
生産計画は、どの品目をいつまでにどのように生産するかを決める計画です。つまり、製造計画は生産計画の一部であり、対象とする範囲が異なる点が大きな違いです。
製造計画では、作業に着手する日程、その間に製造する予定数、次工程へ製品を渡せる詳細な日程、などを計画します。

生産計画の方式

生産計画の方式は、主に「押し出し方式」と「引っ張り方式」の2種類があります。それぞれの概要は以下のとおりです。

押し出し方式

引っ張り方式

概要

PUSH型とも呼ばれ、事前に立てた生産計画をベースに各工程を進める方式。
受注してから生産計画を立てるわけではないため、急な受注増加や減少などの変化に弱い。

PULL型とも呼ばれ、顧客からの受注に対して生産計画を立てる方式。
受注内容をベースに計画を立てるため、余剰在庫が発生しにくい強みがある。ただし、受注が入ってからの計画となるため現場はスムーズ且つスピーディーな対応が求められる。

メリット

  • 計画通りに作業を進めやすい
  • 余剰在庫が発生しにくい
  • ムダな製造コストをかけずに済む

デメリット

  • 急な受注量の増加や減少などの変化に弱い
  • 受注が入った際に納期を確実に守れる生産体制を整えておかなくてはいけない
  • 生産キャパシティを超える受注が入る可能性がある

押し出し方式は、販売計画に基づいて生産計画を立てる方法です。
そのため、販売の見込みがある程度立てられて、先行して製造を実施できる企業に最適な方式になります。

引っ張り方式は、顧客から受注が入った際に生産計画を立てます。
受注が入ってからの計画となるため在庫が発生せず、必要な分だけの製造コストで済ませることが可能です。

生産計画に使われるツール

生産計画はツールを利用することで、最適化を図りやすいです。
ムダのない生産計画や工程管理を実現するためにも、以下の4種類のツールを有効活用しましょう。

【 生産計画に使われるツール 】

  • 生産スケジューラ
  • 生産管理システム
  • ガントチャート
  • PERT図

ツールごとに管理・把握できる内容が異なります。生産スケジューラなら生産に対する必要なリソースや各工程状況、生産管理システムは原価や品質状況、といったように異なるため、どのような生産体制を敷いているかによって使用ツールを選定しなければいけません。

基本は、生産における様々な業務(生産計画、在庫管理、原価管理、品質管理など)を一括管理できる生産管理システムがおすすめです。
ただし、生産量に対する設備や人的リソースの詳細な割り当てなど、さらに細かな計画を作成したい場合には生産スケジューラが適しています。
各ツールの詳細を次項で確認し、採用するべきツールはどれかを判断しましょう。

生産スケジューラ

生産スケジューラとは、製品の詳細な製造日程や人員配置などを立案するツールです。
スケジュールを立案することに重点が置かれているため、スケジュールを組む上で必要となる機能が豊富に搭載されています。
例えば、生産計画の自動作成機能や画面上での計画調整機能といった機能が付帯しています。
また、生産スケジューラでは、各工程で必要なリソース(設備や人員など)の把握・割当てや作業時間の算出が可能です。必要となる正確な作業時間を算出することで、各工程の時間管理をよりシビアに行なえます。その結果、リードタイムの短縮や改善にも繋がるでしょう。

生産管理システム

生産管理システムとは、原料調達から出荷までの“生産”に関わる業務を一元管理するためのツールです。
生産計画や在庫管理、原価管理と言った機能が付帯しており、ツールを利用することで各管理業務を効率よく処理できるようになります。
なお、生産スケジューラにも同じような機能が付帯していますが、生産スケジューラと生産管理システムでは扱う範囲が異なります。
あくまでも生産スケジューラは生産管理システムの一部として位置づけられているため、その点を理解したうえで導入すべきかどうか判断しなければならないでしょう。

生産スケジューラと生産管理システムの具体的な違いは、計画の「粒度」にあります。生産管理システムは生産に関わる全体の業務を包括的に管理できるのに対し、生産スケジューラは使用する設備や人員、作業時間など細かい粒度で計画を立案することが可能です。

ガントチャート

ガントチャートとは棒グラフの一種で、各作業の開始時期・終了時期が把握しやすく、作業管理者にとって非常に有効な進捗管理方法として知られています。1910年代に、米国の企画工学者であり経営コンサルタントでもあったヘンリー・ガントによって考案されました。

ガントチャートは、縦軸(行)を使用して生産設備や人員など経営資源などの項目を並べ、横軸(列)では時間軸(バケット)を記載します。
各項目の作業・業務が具体的に何日から何日までかかるのかといった情報を可視化できるため、前後工程の関係を把握しやすいです。

PERT図

PERT図とは、生産計画における各工程の関係性をまとめた以下のような図です。

工程ごとの「流れ」と「必要とする日数・時間」を表記します。これにより、生産に必要となる全体の時間を詳細に把握できるようになるだけでなく、時間のかかっている工程やそうでない工程が明確になります。時間がかかっている工程はボトルネックになっている可能性があるため、それを改善できれば生産時間の短縮にも繋がるでしょう。

また、PERT図は作業の進捗管理にも最適です。現時点で生産に対してどんな作業・業務をしているのかを確認したうえで、PERT図と照らし合わせると進捗状況を把握できます。進捗状況を把握できると、生産が完了するまでの時間も予測可能です。

【 補足 】

当社製品では現時点でPERT図には対応しておりませんのでご注意ください。なお、リソースを平準化する山積みグラフや在庫推移表には対応しております。詳細については、以下のURLよりご確認くださいますよう、お願いいたします。
https://www.hitachi-solutions-east.co.jp/products/scsquare_isp/function/

なぜ生産計画が必要なのか?

生産計画は、製造業のような納期を基準に業務を遂行する企業にとっては重要性が高いです。
生産計画が無ければ、以下のような問題が発生することも考えられます。

  • 必要なタイミングで原料・部品の調達ができていない
  • 在庫不足・過剰在庫が発生する
  • 納期を守れない
  • 製造に必要な人員を適切に確保できない

これらの問題が発生すると、製造コストの増加や顧客納期の順守が出来ず、受注減により業績悪化につながる可能性も出てきます。
しかし、生産計画を立てることで上記のような問題を解決できれば、「利益の最大化」が期待できます。
なぜなら、生産計画を立てることによって売上の向上と経費削減の両方が見込めるためです。

例えば、緻密な生産計画によって小ロットへの対応や納期の遵守ができるようになれば、顧客満足度の向上だけでなく、新規顧客獲得にも繋がり、売り上げの向上が見込めます。一方で、ムダのない生産計画を立てられれば、過剰在庫の発生や残業等のムダな労働の削減にも繋がるため、人件費や在庫保管費などむだな費用を発生させずに済みます。

生産計画の立て方

生産計画は販売計画に基づいて立てるケースもあれば、受注が入ってからその内容をもとに立てるケースもあります。どちらのケースで生産計画を立てるにしても、漠然と計画を組むことは良しとされないため、以下3点のように期間を絞って計画を立てることが重要です。

  • 大日程計画を作成する
  • 中日程計画を作成する
  • 小日程計画を作成する

各期間の生産計画において、具体的などのような点に重点を置いて計画を立てるのかを知っておくことが大切です。
例えば、大日程計画は主に人材・設備・資金などを“用意”することに重点を置き、中日程計画は用意した人材などをどのように“活用”するかに重点を置き、小日程計画は生産能力や生産ラインの稼働率など細かな部分に重点を置いて計画を立てます。

また、各期間における生産計画を立てるうえで、必要な情報は何かを確認しておくことも重要です。
例えば、販売計画の詳細、保有する在庫数など、正確な生産計画を立てるために必要な情報は計画を立案する段階で把握できるようにしておくべきでしょう。

大日程計画を作成する

大日程計画とは、3~12ヶ月といった長期間にわたる生産計画です。
主に過去の受注実績や、実際の納品実績のデータから分析をして立案した販売計画に基づいて作成します。実際に製造が必要となる時期を見据えて、必要な人員数を用意する計画や設備を導入する計画を立案・作成しなければいけません。
つまり、生産を実行するために必要な資源(人材・資金・モノ)を“用意”するための計画が大日程計画です。用意した資源を具体的にどのように活用するのかを計画することは中日程にあたるため、次項の内容になります。

中日程計画を作成する

中日程計画とは、1~3ヶ月ほどの期間にわたる計画です。
販売計画や実際の受注内容をもとに立案し、具体的にいつまでにどのくらいの数量を生産するかを計画します。
そのため、人員のシフトや生産品目の構成やカレンダ情報、生産能力などの情報が必要です。なお、人員シフトや原料調達などの計画は変動する可能性が高いため、基本的に中日程計画は1~2週間ごとに見直します。

小日程計画を作成する

小日程計画とは、1~4週間ほどの期間にわたる計画です。
短期スパンでの生産を必要とするケースを対象とした計画で、稼働する生産ラインや作業に配置される人員、実際の稼働予定時間や完了日などを踏まえて詳細に立案します。そのため、各工程で必要になる数値(生産する設備等のリソースや生産開始・終了タイミング)が明確になるように作成しなければならず、場合によっては時間単位での計画になることもあるでしょう。

以上のように、小日程計画は中日程計画や大日程計画と比較して詳細かつ複雑な計画になりやすいため、現場の状況をより深く理解しておかないと作成が難しいといった側面も持ち合わせます。
また、緻密な計画を立てなければいけないため、毎日の稼働状況をもとに日々の見直し・修正を実施します。日々、安定した製造が遂行されていれば問題ありませんが、機械の不具合や体調不良による急な欠員など、予測できない事態も多くあるため、短期間での見直しが必須です。

生産計画の立てる際のポイント

生産計画を立てる際、以下のポイントを意識することで、修正を最小限に抑えられる計画の作成が可能です。

【 生産計画の立てる際のポイント 】

  • バッファを設ける
  • 生産実績を元に計画の精度確認する

日程や人員などにバッファ(余裕)を設けることで、不測の事態に柔軟に対応できる計画を作成できます。
また、過去の生産実績のデータをもとにすれば、より詳細かつ実態に合った現実的な計画を作ることも可能です。

バッファを設ける

バッファとは「余裕」を意味し、設けることで欠員や製造トラブルなどが起きた際に柔軟に対応できるようになります。
具体的には、納期に対して余裕をもった製造期間を設ける、想定する必要人員に対して1~2名余分にシフトに組み込む、といったものがあります。仮にバッファを設けなかった場合、不足な事態が発生した際に社内のキャパシティだけでは、埋め合わせできない可能性が高いです。

例えば、製造に5日間かかる製品があったとして、納期の5日前から予定を組んだ結果、不測の事態が発生して製造が止まったらその時点で納期遅れが濃厚になってしまいます。人員についても同様で、必要数5名と算出している中で欠員が出てしまうと、急に別の従業員に出勤を促すのは難しく、埋め合わせは難しいでしょう。
バッファは、納期を確実に守るうえでも重要なポイントです。万が一の事態が発生して混乱を発生させないためにも、できる限り設けるようにしてください。

生産実績を元に計画の精度確認する

過去の生産実績のデータがあれば、その内容をもとに計画の精度を確認しましょう。そうすることで、実態にあった無理・無駄のない計画が立てられます。過去の生産実績は現場の生産能力を図るうえで重要なデータになるため、そのデータを活用すれば予定数を生産するのにかかる時間の計算精度を高めることが可能です。
ただし、過去の生産時と作業者が変わるなどの変化がある場合は、その点を加味したうえでの生産計画の立案も必要になります。

まとめ

生産計画とは、自社で取り扱う製品・商品を受注した際、いつまでに、どのくらいの量を生産するべきか計画したものです。

生産計画は過去の実績をベースに立案された販売計画をもとに作成するケースと、実際に受注が入ってから作成するケースがあります。
そのため、長期間にわたる計画が必要なケースもあれば、数週間単位の計画が必要なケースもあるでしょう。

生産計画は、自身でゼロからExcelなどを使用して作成することも可能ですが、取り扱う製品が多い場合には、作成の負担も大きくなるためおすすめできません。また、短期間での計画が必要な場合には作成に時間をかけることも許されないため、このようなケースにおいてExcelは適さないでしょう。自社の状況にもよりますが、作成負担や計画立てが完了するまでの時間を考慮したうえで、生産スケジューラのようなツールの利用も検討することを推奨します。

※Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

お問い合わせ・資料請求

直接の資料請求・お問い合わせは、
お問い合わせフォームからどうぞ

その他、デモ・トライアル・導入相談など、お問い合わせも受け付けております

直接の資料請求・お問い合わせは、お問い合わせフォームからどうぞ 直接の資料請求・お問い合わせは、お問い合わせフォームからどうぞ
TOP