ページの本文へ

Hitachi

第5回 需要予測の手法「需要予測の精度を高めるタイムバケットの決め方」

需要予測支援システム「Forecast Pro」

【 価格や見積もりについてのお問い合わせ 】

企業が不良在庫や欠品のリスクを抑えながら売上や利益を最大化するためには、商品や製品を適切な量、適切なタイミングで供給することが欠かせません。そのためには、需要を見通したうえで適切な販売計画を立てる必要があります。その重要な判断材料となるのが、精度の高い需要予測です。ただ、実際の販売計画は需要予測だけで決まるわけではありません。

需要予測が、どのように販売計画や生産計画につながるのか、業務の流れを整理してみます。まず、営業部門が「どの商品をどれだけ売りたいか」という販売見込みを作成。次に、統計モデルや機械学習AIモデルを用いて過去の販売実績をもとに客観的な需要予測を立てます。
そのうえで、需給調整(SCM)部門が両者を照らし合わせ、市場環境や事業戦略も踏まえて販売計画を精査、確定。その計画と在庫状況をもとに在庫補充計画を策定し、最終的な生産計画へとつなげていきます。つまり、需要予測は販売計画や生産計画を策定するために欠かせない情報なのです。

こうした需要予測の精度を上げる重要な要素の一つに「タイムバケット」があります。タイムバケットとは、需要を「日」「週」「月」などの、どの時間単位で区切って予測、管理するかを示すものです。
この記事では、需要予測の精度向上につながるタイムバケットの決め方を紹介します。

需要予測を実施する際のタイムバケット設定の課題

精度の高い需要予測をするには、タイムバケットの設定が非常に重要です。本来であれば、自社の業務が必要とするタイムバケットでそのまま精度の高い需要予測をできるのが理想的と言えるでしょう。一般的に製造業であれば「月別」「週別」、流通業であれば「週別」「日別」、食品スーパーなどでは「日別」の需要予測が必要になります。

しかし、細かいタイムバケットで実施する需要予測では精度が高まりづらい傾向があります。過去のデータには、天候などによる偶然の来客数の増減や、イベントといった特殊要因による需要の増減など、予想や再現ができない情報が含まれているからです。
たとえば、昨年の2月1日の来客数が降雪の影響で少なかったからと言って、今年の2月1日も降雪で来客数が伸びないとは限りません。また、昨年末に打ったイベントの日に需要が大きく伸びたからと言って、今年の年末に打つイベントの日に同じように需要が大きく伸びるかはわかりません。

それでも、自社が求めるタイムバケットでの需要予測は必要です。そのためにはどうすればいいのでしょうか。
「Forecast Pro」を利用する場合、以下の2つの方法があります。

  1. 高い精度を期待できる粗いタイムバケット(「月別」「週別」など)で需要予測を立て、その結果を細かなタイムバケットへ按分する
  2. 機械学習AIモデルを使って細かなタイムバケットの需要予測をする

統計モデルや機械学習AIモデルを活用した
需要予測支援ソリューション「Forecast Pro」

Forecast Proの機能を簡単に紹介します。Forecast Proは、統計モデルや機械学習AIモデルを活用して需要予測を支援するソリューションです。
過去の販売実績などをベースに客観的な予測を立て、製造業や流通業、小売業などあらゆる業種で販売計画や在庫計画を策定するのに役立ちます。

需要予測を実施する際は、「どのタイムバケットで予測するか」が重要です。Forecast Proでは、「月別」「週別」「日別」「旬別」「時間別」などさまざまなタイムバケットで、より精度の高い需要予測をするために検討や検証を重ねることができます。過去のデータの特性に応じて適切なタイムバケットを設定することで、自社の業務に応じた、精度の高い需要予測を実現しやすくなります。

精度の高いタイムバケットを見つけ出す

Forecast Proを活用して需要予測の精度を上げるには、具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。
まずは適切なタイムバケットを見つけて需要予測する方法を紹介します。

タイムバケットを変更することで精度の高い需要予測を立てた実例

ある食品製造会社の需要予測の実例です。この会社では、まず自社の業務が必要とする週別の需要予測を試みました。
しかし、実際に週別で需要予測をしてみると、精度がよくありませんでした。

グラフの赤線が表すのは需要予測値、黒線が表すのは需要実績値です。予測値と実績値が大きく乖離しているのがわかります。


そこでタイムバケットを週別から月別に変更して需要予測をすることにしました。

需要予測の精度が上がり、赤線が表す予測値と黒線が表す実績値が近づいているのがわかります。

このように自社が求めるタイムバケットでの需要予測の精度が高まらない場合、週別から月別というようにタイムバケットを粗くすることで予測精度が高まることがあります。

週別の需要予測から曜日パターンを利用して日別の需要予測を立てた実例

需要予測の精度が高まるタイムバケットを見つけ出し、自社が求めるタイムバケットに按分する方法もあります。ポイントは自社が望むよりも粗いタイムバケットで需要予測を立てることです。

ある食品スーパーでは自動発注も見据えて、日別の需要予測を求めていました。ところが、POSデータを基に検証した日別の需要予測は、高い精度にはなりませんでした。そこで「月別」と「週別」での需要予測も検証した結果、月別での予測がもっとも高い精度となりましたが、週別での予測も許容範囲内であると判断しました。

ただ、業務を進めるためには、やはり日別の需要予測を立てる必要があります。この食品スーパーには曜日ごとのイベントやチラシパターンなどがあるため、曜日ごとの需要傾向がはっきりしていました。そこで週別での需要予測で出た数値を日別に按分することにしました。

まずはPOSデータから週別の需要予測を立てます。これを単純に7日間で均等に按分するのではなく、過去の販売実績から抽出した曜日別の需要傾向やイベント、チラシによる影響を加味しました。たとえば、大容量のスナック菓子やペットボトル飲料など、家族が一緒に過ごす週末に需要が集中する商品であれば、土日の按分比率を高めることで、より精度の高い需要予測につながります。
このように、自社が求めるタイムバケットでの需要予測の精度が不十分な場合は、粗いタイムバケットで予測し、その数値を自社が必要とするタイムバケットの数値に按分する方法が有効です。

月またがりによる不都合を解消して週別で需要予測した実例

ある食品製造会社の需要予測の例です。この会社では需要予測と販売計画は月別で作成、生産計画(在庫計画)は週別で作成していました。
このように需要予測・販売計画と生産計画で必要なタイムバケットが異なるケースは珍しくありません。

この場合、まずは月別で立てた需要予測の数値を按分することで週別の数値を出していく方法があります。ただ、単純に月別から週別に按分するのは簡単ではありません。「月またがり」があるからです。

月またがりとは、月の区切りと週の区切りがぴったり一致しない状態を指します。1か月は4週間ちょうどではないため、たとえば5月第1週に4月末が含まれたり、5月最終週に6月初旬が含まれたりすることがあるのです。この状態で月別の需要予測を週別に按分すると、5月の第1週や最終週のなかに4月や6月の需要が混在することになってしまいます。そのため、月次の売上計画や予算との対応関係がわかりづらくなってしまうのです。

こうした問題を解決するには、次のような方法があります。まずは、月別の需要を予測。この数値をいったん日別の需要予測に按分します。
そして、この日別の需要予測の数値を積み上げる形で、週別の需要予測を算出するのです。こうすることで、月次管理との整合性を取りながら、週次運用できるようになります。

旬別の需要予測で月内の需要増減パターン・リズム(波動)をつかんだ実例

ここまで紹介してきた「月別」「週別」「日別」ではなく、「旬別」の需要予測が有効なこともあります。これは月内を「上旬」「中旬」「下旬」に区切って需要を予測する方法です。

あるアパレル製造会社では1年間を通した需要傾向と、月内の需要傾向の両方を求めていました。年間の需要傾向を把握するには月別で需要予測する方法がありますが、これでは「夏場によく売れる」「冬場によく売れる」という大まかな季節性変動を把握するのにとどまります。
いっぽうで、旬別で需要予測をすれば、「月初の需要が大きい」「月末の需要が大きい」というように月内の傾向をつかみながら、年間の大まかな需要傾向も把握できるようになるのです。

まずは、一か月を上旬、中旬、下旬に分けて、需要予測を実施します。たとえば、スーパーやドラッグストアでは給料日直後の上旬に需要が高まり、中旬には落ち着く、月末には需要が落ちるというのが一般的な需要傾向です。あるいは月末にセールのイベントを打てば、給料日前でも需要が高まる可能性があります。このように給料日直後に需要が高まる商品や、月末の販促活動によって需要が高まる商品の場合、上旬、中旬、下旬によって需要傾向が異なることがあります。月別の需要予測では捉えづらい月内の需要動向も、旬別で需要予測をすれば把握しやすくなります。
そのうえで、旬別で需要予測した1年分のデータ(各月を上旬、中旬、下旬の3つに区切った計36データ)を時系列で積み上げることで、結果的に月別の需要予測と同じように、年間の大きな需要傾向を把握することができるのです。

このように年間の需要傾向と月内の需要傾向をどちらも把握したい場合は、旬別での需要予測が有効なことがあります。

季節商品の需要予測

バレンタインデーのチョコレートや花粉症対策グッズ、使い捨てカイロ、クリスマスケーキなどは特定の季節・期間にしか需要がないため、月別の需要予測で年間の傾向を把握する意味はありません。こうした場合は需要の高まる期間だけを切り出す方法もあります。
たとえば、花粉症対策グッズは1月~4月に需要が集中します。この4か月を便宜上の1年と捉えて需要予測を行うことも有効な方法です。

「Forecast Pro」の機械学習AIモデルで需要予測する

先ほど紹介した食品スーパーの実例では、自社が求める日別の需要予測で高い精度が出なかったため、週別の需要予測の数値を日別の予測に按分しました。しかし、Forecast Proの機械学習AIモデルを活用することで、週別から日別に按分するのではなく、ダイレクトに日別の需要予測でも十分な精度が出る場合もあります。

従来の統計モデルは直前の需要に重みをつけて需要予測するため、直前の需要データに敏感に反応してしまうことがありました。
たとえば、週末に特売を開催したことやSNSで話題になって需要が増加することはあります。逆に、一般的な休日である土曜日や日曜日の販売データがなかったときに、「現在の需要が急減している」と解釈してしまう可能性もあります。こうした一時的な需要の増減を需要予測に反映してしまうことがあるのです。

下のグラフの場合、予測値(赤線)と実績値(黒線)に大きな乖離がある部分があります。これは直前の需要実績の影響を受けて、統計モデルが本来は需要のない2日間の需要を大きく予測してしまったからです。

機械学習AIモデルは、指定範囲(全期間)を適切に扱います。そのため、「毎週土曜日や日曜日は需要が落ちる。月曜日になると需要が戻る」というように判断して、精度の高い需要予測ができるのです。さらに、時間帯ごとの需要の規則性を大量のデータから学習するため、1時間ごとの需要も予測できます。


下のグラフは機械学習AIモデルによって需要を予測したものです。
先ほどのグラフと比較して予測値(赤線)と実績値(黒線)が高い精度で一致しているのがわかります。

また、機械学習AIモデルには、長期的なデータがない場合でも需要予測できるという特徴があります。一般的に月別・週別の需要予測には、2~3年分程度のデータが必要です。いっぽう機械学習AIモデルでは、2年未満のデータがあれば年間の需要傾向を全体的に捉えながら、ある程度の精度で需要を予測できることがあります。限られた短い期間のデータしかない場合にも、機械学習AIモデルによる需要予測が有効な場合があります。

まとめ

精度の高い需要予測を実現するためには、適切なタイムバケットの設定が欠かせません。本来であれば、自社の業務が求めるタイムバケットで、そのまま高精度の需要予測ができるのが理想です。
しかし、細かいタイムバケットでは予測精度が低下するケースも少なくありません。そこで、月別、週別、日別など複数のタイムバケットでの予測結果を比較しながら、自社にとって最適なタイムバケットを選択することが重要となります。

お問い合わせ・資料請求

Forecast Pro
  • 製品の詳しい説明やForecast Proの参考価格表など
  • 導入されたお客様の具体的な成功事例もご覧いただけます
    即納率98%を実現した「いすゞ自動車様」、欠品率を8割削減した
    「サラヤ様」、99.5%の高精度な需要予測を実現した「ツムラ様」、
    在庫を約30%も削減した「オリンパス様」の事例など

その他、デモ・トライアル・導入相談など、お問い合わせも受け付けております