テキストマイニングシステム「CoreExplorer」
経営企画、商品開発、販売促進、顧客管理、研究開発……、さまざまなジャンルで、多彩なアンケート調査が行われている。これは一般企業にとどまらず、大学の研究室でも同様である。研究や業務に関する幅広いアンケートを実施し、客観的な分析や実務への貢献が求められるためだ。
ここで課題となるのが、自由記述文の処理である。内容によっては選択肢よりも自由記述で解答を求めたい場合も多い。だが、その回答数が膨大になると、人間が読みながら解析することが困難になる。仮に解析できたとしても属人的な分析となってしまい客観性に欠けるものとなってしまう。そこで必要とされるのがテキストマイニングツールだ。
順天堂大学 大学院 医療看護学研究科では今回、研究の一環として、プリセプターシップ(一般企業でいうOJT)への支援に焦点をあてたアンケートを含め、様々なアンケートを実施した。アンケートは、選択式ではなく思ったことを書いてもらえるよう積極的に記述式の解答を求め、その分析にテキストマイニングツールを用いることにした。
そして学生たちが自ら探し出したのが、簡単なマウス操作で分析が行える高い操作性と、結果が直観的にわかるビュアーをそなえ、利用者が多種多様な切り口で分析可能な日立ソリューションズ東日本の「CoreExplorer」だった。導入の決め手となったのは、日立ソリューションズ東日本が毎月開催している「ハンズオンセミナー」。
無料のうえ、他社とは異なり実データを持ち込んで分析のシミュレーションを行うことができた。
【写真左】医療看護学研究科 研究指導教員 村中 陽子 氏
【写真中央】医療看護学研究科 健康科学領域 看護教育学専攻 笹野 幸春 氏
【写真右】医療看護学研究科 健康科学領域 看護教育学専攻 大和広美 氏
東京お茶の水にある日本を代表する医学系大学 順天堂大学。その開学は1838(天保9)年と古く、日本の西洋医学史とともに歩んできた。現在では4学部、3大学院、そして6医学部附属病院(ベッド数3,199床)からなる健康総合大学に発展している
同大の施設の一つとして、千葉県浦安市に大学院「医療看護学研究科」が設立されたのは2007(平成19)年のことである。
笹野氏
--「高度な実践能力を持つ看護職者および教育者・研究者の育成が目的です」
と、同科 研究指導教員 村中 陽子 氏は語る。同研究科の看護教育学専攻では、基礎教育・継続教育の両側面について研究している。
同学専攻の笹野 幸春 氏は5年間の看護師の経験を経て入学。
--「臨床経験の間に、看護師の教育に興味を持ちました」と、入学の理由を語る。
同じように大和広美 氏は、
--「6年間看護師を経験し、その間に新人教育も体験しました。これを通じて教育者になりたいと考えるようになりました」と語る。
そのような現場経験者が大学院医療看護学研究科には多い。看護師として働きながら夜間で通学している学生も多い。さらには、異なる業界での職業経験を経て看護学部に入学する人もいる。
--「看護系大学の教員になるためには、臨床現場の経験に加えて修士課程を修了することが必要です。」と、村中氏は説明する。
大和氏
大学院医療看護学研究科について大和氏は、
--「自主的に研究を進めることを求められるので驚きました」と語る。
看護の専門学校を出てはいたが、そこは教科書を基本とした教育であった。だが、大学院の学生には専門のコースに沿ったオリジナルな研究が求められる。
その自主的な研究の一環として、大和氏はプリセプターシップに関するアンケートを行い、実際に従事している看護師にプリセプターシップの役割や意義を尋ねることとした。
一方、笹野氏は、「学習ニード(意欲)」と「看護実践能力」のアンケートで、とりわけ、「学習ニード」に関しては、現場にはどのような意見があるのか、望むことはどのようなことかも併せて探ろうとした。
村中氏
--「これらのアンケートで問題となるのが、どこまで選択肢でカバーできるかです。選択肢では捉えきれない真実をどのように探求するのかを考えたとき、そこで自由記述文が重視されます」。と、村中氏は強調する。
--「しかし自由記述文を解析するとなると、数十程度の解答であれば人間系で解読できますが、数百となると時間もかかりますし、客観性の確保も容易ではありません。」(村中氏)。
そこで、学生二人にアドバイスしたのが、「テキストマイニングツール」の活用であった。この段階で学生二人はテキストマインニングについての知識はまったくなかった。何ができるか、どんなツールがあるのか、を一から見つけ出すことも課題となった。
研究内容の方向性を固め出したのは2010年の2月のころから。4月にはこれが認められ、同時にアンケート内容の解析手法の決定も迫られた。大和氏と笹野氏の両人はテキストマイニングの機能を確認し、国内で利用できるツールを探した。
ここで発見したのが日立ソリューションズ東日本の提供する「ハンズオンセミナー」であった。
--「まず、無料というところが魅力的でした」と、笹野氏は語る。さらに
--「途中経過でしたが、集まっていたアンケートデータを持っていきました。このセミナーでは実データを使って分析の手順や結果まで体験でき、自分の研究と照らし合わせながらツールを使った分析をイメージすることが出来ました。このような体験から『CoreExplorer』なら、今回の研究で十分に活用できると確信しました」と、大和氏は語る。
「ハンズオンセミナー」は日立ソリューションズ東日本が毎月開いている、無料の体験セミナーである。テキストマイニングの基本はもちろん、一人一台のパソコンで操作しながらテキスト分析を体験できる。またデータを持ち込んで分析することもできるし、その分析方法もアドバイスする。
ここで二人は、解析の可能性と有効性を実感できた。
--「ここまで親切なセミナーは他にありませんでした。日立ソリューションズ東日本だけです」と大和氏は断言する。
さっそく大学院に帰り、二人は購入の申請を行った。
--「すぐに認めました。『CoreExplorer』なら二人のためだけではなく、大学院の後輩も利用できます」(村中氏)。
8月に申請され、9月には納品されている。
例えば、大和氏の実施した分析手法は以下である。
(1)同義語の設定
自由記述文のため、どうしても用語に揺らぎがある。例えば「先輩」と「プリセプター」や、「新人看護師」と「プリセプティー」といった同義語をあらかじめ登録した。まずは、システム上で同じ意味と解釈するように辞書の整備を行った。
(2)自由記述文からキーワードの抽出とクラスタリング
次に自由記述文から頻出キーワードとそのキーワードと共に使われているキーワードを抽出後、クラスタリングによりキーワード間の関連を分析していく。例えばこの分析により「知識」という頻出キーワードは「振り返り」「技術」「新人看護師」などと一緒に使われることが分かり、内容を把握することができる。これは「CoreExplorer」のクラスタリング機能により、自動的で自由記述文の中から代表的な話題を整理することができる。
(3)カテゴリー分類
クラスタリングされたキーワードから自由記述文の傾向を把握し、カテゴリーに分類した。例えば、「プリセプターにおけるプリセプターシップの意義」についての回答をカテゴリーに分類してみると、「看護の知識や技術の振り返り」と「指導することによる自己の成長」などに整理することができ、代表的な意見を素早く導き出すことができた。
--「これらを自分の主観ではなく、得られたデータから客観的に抽出できたことに意義があると思います。しかも、極めて短時間に効率的に可能となっています」(大和氏)。
さらに大和氏は「CoreExplorer」を
--「私はパソコンが苦手で不安だったのですが、クリックだけで次々と操作できました」と認める。
セミナーでもそうであったし、実際に操作してもほとんど迷うことなく手順をクリアできた。
--「フォローもしっかりしています。電話やメールで相談すると、すぐに対応してくれました。」とも語る。
笹野氏も、--「選択肢や○×式だけでは、画一的な回答しか得られません。アンケート数が多くても正確で客観的な抽出ができます」と、強調する。
もっとも、アンケートのゴールはカテゴリー分類ではない。
--「こうして、カテゴリー化された分類と、例えば技術修得度との関連性などというように、相関性を追求しなければなりません」と、村中氏は指導する。
自主研究を重んじ、さまざまなアンケートを実施している順天堂大学 大学院様。その自由記述文の解析に、これからも「CoreExplorer」が活用されていく。
社名 |
順天堂大学 大学院 医療看護学研究科 |
---|---|
設立 |
順天堂大学は1843年(天保14年) |
本社 |
279-0023 千葉県浦安市高洲2-5-1 |
学生数 |
順天堂大学は2726名 |
順天堂大学の開学は、1838(天保9)年、江戸薬研堀に蘭方医学塾「和田塾」創立に遡ることができます。医学塾「順天堂」の名称となったのは1843(天保14)から。現在の湯島本郷に移転したのは1875(明治8)年のことです。大学は医学部、スポーツ健康科学部、医療看護学部、保健看護学部で構成され、大学院と6カ所の附属病院があります。
大学院 医療看護学研究科の開学は2007(平成19)年4月。日々変貌する医療・保健・福祉の場において、高度な看護実践能力が発揮できるよう、充実した専門看護師教育課程を整備していきます。
その他、デモ・トライアル・導入相談など、お問い合わせも受け付けております
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