売上予測は、企業を健全に経営していくうえで重要とされる取り組みの一つです。適切なデータに基づいて売上予測を立てることができれば、金融機関から受けている融資への返済計画が立てやすくなるだけでなく、事業運営における適切な人員の把握にも繋がるでしょう。
そこで本記事では、売上予測の目的や立てる方法、精度を高めるポイントなどを解説します。売上予測を立てることで今後の収入をある程度把握していくことに繋がるだけでなく、過去の売り上げ実績を再認識することにも繋がるのでぜひ参考にしてみてください。
売上予測とは、過去の売上データを基に今後の売上の予測を立てることです。売上予測は、社内向けだけでなく株主や金融機関への提出用として作成することも多く、経営戦略等における重要な指針として活用されます。
基本的に売上予測は過去のデータを参考に作成するため、存在しないデータや、経営者の感覚的な予測を基に作成することはありません。そのため、客観的な視点で作成されるのが特徴です。
ちなみに、売上予測と混同されやすい用語で、売上目標というものがあります。売上目標は、あくまでも企業が目指す売上の目標値を算出したもので、その数値には客観的なデータと合わせて従業員への期待値や努力度合いといった数値で表せない部分も盛り込まれます。
売上予測の基本的な計算方法は以下の通りです。
売上予測 = (前年または過去数年の売上平均) × 成長率
この計算方法は、売上予測を算出する最もシンプルな方法として知られています。さらに精度の高い予測を立てたい場合には、より多くの要素・データを加味して計算する必要がありますが、まずは基本的な計算方法を押さえておきましょう。ちなみに、精度を高めるためのデータは、本コラムの「売上予測に必要なデータ」でいくつかご紹介しているので参考にしてみてください。
では、上記の計算方法に基づいた計算例を以下ではご紹介します。
まずは成長率を算出しますが、半月単位で出す場合もあれば、1年単位で出す場合もあるので、企業の業種等によって使い分けてみてください(月ごとの変動が大きい場合は、1年単位で算出するのがおすすめ)。以降では、1年単位で成長率を計算したうえで、今年の売上予測を算出する計算をします。
2年前の売上が1,000万円、昨年の売上が1,500万円の場合、『(1,500万円-1,000万円)÷1,000万円×100=50%』という計算で、1年あたりの成長率50%という値を算出可能です。この数値を基に、昨年の売上から今年の売上予測を立てようとすると以下のようになります。
売上予測 = (前年または過去数年の売上平均) × 成長率
売上予測 = (昨年の売上)1,500万円 ×(成長率)50% = 2,250万円
売上予測を出したい期間(1年分なのか、半年分なのか)に合わせて成長率を算出し、ベースとなる時期の売上に掛けることで予測を出すことができます。
エクセルを使った売上予測のやり方と、システム(Netstock IBP)を使った売上予測のやり方について、手順やメリット・デメリットを解説したPDF資料がダウンロードできます。
【 主な内容 】
・エクセルを使う場合の売上予測の立て方手順とメリット・デメリット
・Netstock IBP を使った場合の売上予測の立て方手順とメリット・デメリット
・売上予測システム Netstock IBP の製品概要
売上予測の精度を高めるためには、少しでも多くのデータを利用した方が良いです。
そこで以下では、売上予測に必要となるデータをご紹介します。
【 売上予測に必要なデータ 】
大まかな売上実績だけでなく、そこから商品別、期間別、顧客別の売上実績といったように細かく分けて考えることで、精度の高い予測が立てられます。企業ごとに重要なデータは異なるため、自社の事業形態に合わせて必要なデータを活用することが大切です。
例えば、3ヶ月ごとの契約プランとなっている商品を扱っている場合には、3ヶ月ごとの売上実績が必要データとして挙げられますし、取扱商品数が100あるとしても、実際の売上に貢献しているものが3~4つしかない場合は、その3~4つに絞って売上予測を立てることが大切になってくるでしょう。
売上予測は活用する目的があるからこそ、予測を立てる意味を持つようになります。
以下では、売上予測を立てる主な目的として3つをご紹介します。
売上予測を立てることで、今後必要とされる在庫や人員の把握、適切な目標の設定に繋げることができます。
成長率がプラスなら問題ないですが、場合によってはマイナスになることもあるため、マイナスの場合はそれを基に算出した売上予測から人員の削減などを検討する必要があるかもしれません。
他にも、売上予測を金融機関に提出することで、新たな融資の追加に繋がることや、返済計画の算出に役立つことが考えられます。
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売上予測を立てる目的の一つに、適正在庫や人員の把握があります。特に製造業においては、売上予測を立てることで商品の売れ行きを予測することができるため、在庫をどのくらい所持すべきか概算を出すことができるようになるでしょう。
また、売上予測の内容によってはどのくらいの人員が必要となるのかの算出もできるため、これにより適正人数への調整も検討することが可能です。売上予測がマイナスの場合は人員削減、プラスの場合は人員増加を検討する必要があります。もちろん、削減については簡単な検討内容ではありませんが、早い段階で予測を立てておけば対策するだけの余裕を持つことに繋がって、健全な経営を維持することの助けとなるでしょう。
売上目標はどの企業でも掲げる指標の一つですが、無理のある目標設定をすれば従業員のモチベーションを下げてしまうことにもなりかねません。そのため、適切な売上目標を設定するためにも、過去のデータを基に算出した売上予測が重要となってきます。
売上予測を立てることができれば、その数値に期待値を加味することで適切な売上目標が設定可能です。ただし、その期待値ですら高すぎると現実とかけ離れた目標値となってしまうため、過去の売上に基づいた成長率を加味したうえで期待値を算出することが大切になってきます。
過去のデータに基づいた根拠のある売上予測を立てることができれば、今後の事業計画に反映することができます。事業計画を立てることによって、内容によっては金融機関の評価を維持・向上することにも繋がるでしょう。
そして、金融機関の評価に繋げることができれば、融資を受けることもできるかもしれません。不要な融資を受ける必要はありませんが、融資を受けることによって企業を発展させるための開発費用等に資金を回すことができるため、さらなる企業成長に資金を活用できます。
売上予測を立てる計算方法については触れましたが、以降ではさらに具体的な予測を立てる方法をご紹介します。方法は主に以下の2種類です。
過去の売上実績から算出する方法と需要予測ツールを活用する方法の2種類があります。需要予測システムを活用する方法では、季節変動(天候など)や各種イベント(キャンペーンなど)といった外部要因を加味した需要予測が可能で、その需要の予測から売上予測を行います。
過去の売上実績から算出する場合、どのくらいの期間・時期の予測を立てるかによって過去の扱うデータが異なってきます。
例えば、今年の12月の売上予測を立てたい場合は、昨年の12月の売上実績に成長率を乗じて算出します。もし、今年7月~12月までの売上予測を立てたい場合は、昨年の7月~12月までの総売上に成長率を乗じることが算出可能です。
計算方法は、本コラムの「売上予測の計算方法」で取り上げた内容と同じなので、その計算方法を参考に算出してみてください。
ちなみに、過去の売上実績から算出する方法は、あくまでも元データが“過去”のものとなりますので、新規参入してきた競合相手や経済状況などは加味されていない点には注意が必要です。
需要予測システムとは、自社の過去の販売実績データをベースに、今後の需要をさまざまな予測手法を用いて予測するITシステムのことです。
需要予測システムは、過去の販売実績をもとに、需要のトレンドや季節性を抽出して将来期間の販売量を予測できますので、その予測データを活用して販売計画や売上予測を立案することができます。
需要予測システムの具体例としては、弊社の需要予測・需給計画ソリューション「Netstock IBP」があります。
「Netstock IBP」は、(1):アドホック(その場での)階層構造組み替え機能による様々な視点での集計・計画編集、(2):WebおよびExcelワークシートによるコラボレーション、(3):強力な予測機能、(4):供給計画(補充計画)の4つの特徴をもち、週次から月次の頻度で需給計画を立案する企業向けに開発された製品です。
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・エクセルを使う場合の売上予測の立て方手順とメリット・デメリット
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売上予測を算出する方法をここまで解説してきましたが、実はもっと簡単に売上予測を立てる方法があります。
それは、Microsoft社のExcelを活用する方法です。Excelには売上予測を立てられる機能として、関数と予測シートというものがあり、これらを知っておくことで効率よく売上予測を立てることができるでしょう。
Excelの関数を使って売上予測を立てる場合、主に活用する関数とその詳細は以下の通りです。
TREND 関数 |
複数のデータを参考にして売上予測を立てたいときに効果的な関数。天候や広告に出した回数など、様々な条件を基にして売上予測を立てることができます。 |
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FORECAST 関数 |
過去のデータから回帰直線で売上を予測する関数。既知の「xの範囲」と「yの範囲」をもとに回帰直線を求めるのが特徴で、「x」と「y」の関係が直線的であると考えられる場合に有効とされます。 |
SLOPE 関数 |
FORECAST関数と同様に「x」と「y」の関係が直線的であると考えられる場合に有効とされる関数。回帰直線と傾きを求めることで売上予測が立てられます。 |
複数のデータがある場合や、過去の年度と過去の年度に対する売上高の関係性が直線的である場合など、持ち合わせるデータによって活用できる関数が異なります。
Excelの予測シートとは、入力された過去のデータを基に、将来の予測値や予測グラフの生成ができる機能です。
使い方は非常に簡単で、すぐに実践できるので試してみてください。
【 予測シートの使い方 】
①:対象となる過去の売上実績を入力
②:入力したデータを選択して、データにある「予測シート」を選択
③:完成
予測シートでは、実際の予測値と振れ幅として上限値と下限値も予測されます。基本的には過去の実績と似たようなグラフになりますが、参考とする過去のデータの量が多いほどそのデータの精度は高まる期待が持てるでしょう。
エクセルを使った売上予測のやり方と、システム(Netstock IBP)を使った売上予測のやり方について、手順やメリット・デメリットを解説したPDF資料がダウンロードできます。
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売上予測は、精度が高いほど予測を立てる価値が高まります。そのため、予測を立てる際はできる限り精度が高くなるように努めるのが基本です。以下でご紹介する3つのポイントは、売上予測の精度を高めるポイントとして知られているので、これを機に把握しておきましょう。
計算式やExcelではなく、SFAといったシステムを利用するのが精度を高めるうえではかなりの効果が見込めます。SFAのような営業支援ツールでは、営業効率を高めるための様々な機能が搭載されており、売上予測もその一つとして組み込まれていることがほとんどです。
また、組織内での基準の統一は、部門間の感覚的なズレを修正するのに効果的と言えます。売上予測は、基本的に勘や経験に基づいて立てることがほとんどなく、客観的かつ精度の高い予測を立てるためには各部門の基準統一が欠かせません。
SFAとは、営業活動の効率化に役立つツールのことで、営業支援システムとも言います。売上予測はもちろんのこと、進捗管理や営業活動によって得られた商談結果の蓄積といった機能もあり、営業活動において必要とされる様々な機能が備わっているのが特徴です。
営業部門は、SFAの過去の営業活動や記録、売上データを見ながら、今後の売上予測を立案できるので、より精度の高い売上予測を立案できます。
ツールを利用する期間が長くなるほど蓄積するデータは多くなるため、その分だけ売上予測の精度は高くなります。
売上予測の精度を高めるポイントとして、組織全体の基準統一もあります。売上予測は、過去のデータを基に客観的な視点で立てる必要があるため、長年の勘や経験に頼るといったことが基本的にはあってはいけません。数字に基づいてやるからこそ、予測は効果を発揮するので、売上予測を立てる際は事前に組織全体で案件の確度などに対する基準を統一することが大切です。
需要予測システムは、過去の販売データから、外部要因(天候、価格改定、キャンペーンなど)や季節変動のデータを加味して、今後の需要を予測することができます。そのため、営業部門が立案した販売計画と、需要予測システムの需要予測データを精査することで、今後の売上予測の精度を高めることができます。
上図は需要予測システムが出力した予測結果のグラフです。黒線が過去の販売実績、赤線が算出した需要予測値を表しています。
通常、上図のように、実績期間の予測適合値と販売実績を比較し予測誤差を評価します。販売実績と予測適合値が近ければ近いほど、予測誤差が小さく予測精度が高いことになります。
需要予測の誤差を小さくすることで、より正確な将来予測が可能となり、そのデータが売上予測にも反映されると売上予測の精度を向上させることができます。
エクセルを使った売上予測のやり方と、システム(Netstock IBP)を使った売上予測のやり方について、手順やメリット・デメリットを解説したPDF資料がダウンロードできます。
【 主な内容 】
・エクセルを使う場合の売上予測の立て方手順とメリット・デメリット
・Netstock IBP を使った場合の売上予測の立て方手順とメリット・デメリット
・売上予測システム Netstock IBP の製品概要
売上予測は、企業の今後の方針を明確にしていくためにも重要な指針となります。予測の結果によっては、適正な人員数への調整が必要になることもありますし、結果の使い方次第では資金繰りに役立つこともあるでしょう。
売上予測を立てる方法としては、計算式を使って算出する方法や需要予測システムを活用する方法などがあります。どの方法を利用すべきかは、事業形態や何を基に予測を立てるかによって異なってくるので、必要に応じて判断してみてください。
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