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日立ソリューションズ東日本

生産性改善のための「設備・人の稼働データ」と「工程実績データ」の収集方法

IoT/AIによる工場の見える化コラム

「生産性改善のデータ活用方法「設備稼働と作業担当者・工程実績・生産計画」のデータを組み合わせて活用」のコラムでは、設備稼働に加えて設備を運用する作業者の稼働や、工程実績や生産計画データを組み合わせた活用例をご紹介しました。今回のコラムでは、これまでご紹介したデータを収集するための方法をご紹介します。

設備稼動データの収集方法

設備の稼動実績データを記録・収集する方法をいくつかご紹介します。

積層信号灯などの表示灯

設備に設置されている積層信号灯の表示内容を、設備の稼動ステータスと捉えることができます。設備によって設定が違いますが、自動加工中は緑ランプが点灯する、加工完了したら黄色ランプで作業担当者を呼ぶ、異常停止があれば赤ランプが点灯する、というように、点灯状態を稼動ステータスと紐づけることができます。このランプの点灯状態をセンサー等で自動で収集します。
古い設備でも適用でき、また、さまざまな種類の設備に共通して適用しやすい考え方なので、工場全体のデータ収集や見える化を効率的に実現することができます。エラーやアラームの詳細はわかりませんが、別途、作業担当者から報告をしてもらい補うこともできます。なお、積層信号灯メーカー純正の情報収集デバイスを使うと、光学センサーなどを使わず直接データを収集できるため安定したデータ収集が可能です。

後付けセンサー

設備やその周囲にセンサーを取り付け、稼動しているかどうかや、その状態を識別することができます。代表例は以下です。

電流センサー:設備の電源線にクランプする電流センサを取り付け、一定量以上の電流で稼動ONとみなす
光電センサー:設備から一定間隔で流れ出てくるワークを光電センサで検知することで稼働ONとみなす
温度センサー:熱処理する設備であれば、温度センサで一定以上になったら稼動とみなす

センサーや計測箇所の組み合わせでさまざまな意味・粒度での判定ができるようになり、応用がききます。ただし、センサからの出力を受けて計算・判別する機能や機器は別途必要ですし、応用がきくということはつまり個別に対応する必要性があるということで、種類が多くなってくると実装や運用の負荷が高くなりますので注意が必要です。

PLC等の制御機器

設備の動作を制御しているPLC等の機器からデータを取得します。PLCは多くのリッチな情報を持っており、細かい粒度・詳細なデータを取得できる可能性があります。ただし、PLCの中で持っているデータは設備ごとに異なりますし、現場で共有されておらずブラックボックスとなっている場合もあります。どの設備からはどんなデータを取得でき、そのデータがどういう意味で、どう計算・判定すれば良いかを検討できるかどうかが最初の課題になります。また、PLCから出力・連携する通信方式・プロトコルに対応した外部機器・機能が必要です。
近年は、イーサネットに対応したPLC、OPC/UA等の標準規格化も進んできたことや、IoT対応機器や情報収集するためのゲートウェイ機器なども多く発売されています。

人データ(作業者データ)の収集方法

設備を稼働させる際に、その設備を操作・運転する人、また自動運転する複数の設備の稼働を維持する役割を担い設定や監視をする人など、設備の周囲で設備稼働に関わる作業者のデータを収集する方法をいくつか紹介します。

作業・処置内容の記録

PLCに接続されたスイッチボックス

従来の改善活動でも作業者の行動把握のために、設備に取り付けたスイッチボックスのスイッチを「作業者が押す」という記録が試みられていました。その場合の多くは、設備を制御しているPLCにスイッチボックスを取り付ける形態が多かったようですが、設備制御のラダープログラムの追加や変更を伴うので、必ずしも施せる方法ではありませんでした。

カメラ・カメラAI

現場の設備に影響を与えない形で作業内容を記録する方法として、カメラによる動画の録画があります。比較的低価格でWebカメラが入手できるようになり、導入されているケースも多くなりましたが、動画の録画の難点は、把握するためには動画を見る必要があることです。
見ることに多くの時間と労力を要してしまいます。近年では、AIの発達とともに動画解析をコンピューターで行うという技術も取り入れられつつあります。

IoTサイコロ

無線式センサーを使ったユニークなデータ収集例をご紹介します。上下左右の傾きを記録できる無線式センサーをサイコロ状のケースに内蔵させたIoTサイコロは、作業内容を簡単に記録できるデバイスです。サイコロの各面に作業内容を割り当て(1面は作業無しを割り当てる)ておき、作業者がサイコロを転がすことで、作業の有無や内容を記録する仕組みです。
無線を使いますので、既存の設備のPLCなどへの変更を伴いませんし、作業者の捜査もスイッチボックス並みに簡単でわかりやすいというメリットがあります。

屋内での位置データの記録

カメラ・カメラAI

屋内での位置情報を把握するための記録手段としてカメラを利用することもできます。
ただし、録画された動画から必要なタイミングの位置情報を把握することは簡単ではありません。近年は、画像処理技術やAI技術を活用して位置情報や動線を把握する仕組みも取り入れられつつあります。

ビーコン

無線標識として利用されていた旧来のビーコンは、発信機の情報を航空機や自動車などの車載受信機で検知する仕組みを指していましたが、現在は、Bluetooth Low Energy(BLE)など、低電力の近距離無線通信を利用した位置特定技術を指すことが多くなりました。
iOSに搭載されたiBeaconにより、専用ソフトを使わなくともiPhoneを位置把握に利用することもできます。ビーコンは屋内や地下でも利用可能なものがありますので、工場での作業者の位置把握にも使うことができます。

Zigbeeセンサ

Zigbeeなどの近距離無線機能を搭載したセンサーは、測定値の送受信を無線で行うだけでなく、その機能を応用して位置把握に使うことができるものもあります。位置把握だけが目的でない場合、このようなセンサーを活用するのも有効な手段といえるでしょう。

工程実績データの収集方法

設備から自動で収集

一部の自動化が進んだ製造ラインでは、設備から実績データを収集できる場合もあります。
半導体製造装置のように製造指示からコンピューターで制御されている設備や化学プラントの一部では、MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)と呼ばれる製造実行制御と実績収集を自動化するシステムが採用されている場合があります。MESからデータを取り出せる場合、そのデータを活用し生産性改善に役立てることができる場合があります。

作業者による報告書

設備からデータが取れない場合でも、日報などと呼ばれる工程実績報告書によって記録されている場合があります。
ただし、現場で工程を進めるのと並行して詳細なデータをインプットすることは困難であるため、簡素化された報告内容であったり手書きのままの書類として保管されている場合も少なくありません。手書きのデータは、品質保証のためのエビデンスとしての目的としては十分かもしれませんが、生産性改善のためのデータとしては用途が限られてしまいます。PCの表計算ソフトなどに転記するのも労力が必要ですし、転記ミスなどのデータ信憑性の点でもリスクが生じます。

実績報告(記録)のDX

タブレットやスマートウォッチなどのスマートデバイス、センサー等を活用した入力の簡素化、IoTによるデータ収集を組み合わせ、単純な電子化ではない「あらたな」作業記録の手段も様々試行されています。従来の改善への取り組みでも、「バーコードリーダーをPLC等制御機器に接続して工程情報も記録する」のような施策が講じられることもありましたが、設備の制御プログラムの追加・変更を伴うこと、他の近年発達しつつあるIoT技術との融合が簡単ではないこと等から、大規模な横展開に発展することは多くない印象です。
そういった経緯もあって、既存の制御機器から切り離されたタブレットやIoT技術の活用も検討されることが多くなっているのかもしれません。

IoT技術による現場データ収集への影響

生産現場に存在する様々な設備は、近年コンピューター制御化されており、制御に関するデータを収集しやすいものも増えてきました。
ちょっとした制御プログラムの書き換えや追加で詳細なデータ収集ができるものも存在します。その一方で、長い年月を稼働し続けるコンピューター制御されない古い設備も相当な割合で存在しているのが生産現場です。それらの設備からはシンプルな稼働/非稼働のステータスを記録することも困難です。そこで注目されたのがIoT技術です。IoTは、もともと生産設備のための専用の仕組みではありませんが、センサーなどデータを発生させるデバイスだけではなく、ゲートウェイや通信デバイスなども含め総合的に進化・成長する技術であるため、工夫しだいで既存の仕組みにアドオン(追加)して利用できるのもメリットとしてあげられるでしょう。
もともと生産現場では、古い設備を独自に改造・改良して新たな生産方式に対応させる「レトロフィット」という活用方がとられてきました。データ収集を目的として新しい設備に買い替えるのではなく、IoTをレトロフィットさせるという発想も取り入れることで、生産現場の生産性向上施策もデジタル化が進むと考えられます。

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