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SCM教育サービスインタビュー

いいものをたくさん「作ればいい」あるいは「売ればいい」という考え方だけでは、安定した収益や競争力を保つことが困難なこの時代に、調達、生産、在庫、物流、販売までの全体最適を求めるSCMの考え方は不可欠となってきている。しかしながら、SCMを体系的に学ぶことができる機会は少なく、例えば、国内でSCMの名を冠した学科の存在する教育機関は限られる。そこで日立ソリューションズ東日本が提供を開始したのが「SCM教育サービス」だ。
この教育プログラムでは、SCM競技会世界大会Global Professional Challenge(GPC)への参加を通じた知見の積み上げも推奨。2020年度の競技会の世界大会予選(GPC2020)への参加企業の1社には株式会社日立物流様(以下 日立物流)が名を連ねた。そして同社は、GPC 2020予選、日本決勝を経て勝ち進んだ世界決勝に出場し、日本企業過去最高位となる5位入賞に輝いた。
日立ソリューションズ東日本の「SCM教育サービス」の有用性も認め、初級講座と中級講座を導入。SCMに精通した人材を育成し、デジタルトランスフォーメーション(DX)をも通じた付加価値の向上とお客さまへのさらなる貢献を目指している。

導入のポイント

  • SCM体系立てて学ぶことのできる「SCM教育サービス」
  • 「SCM教育サービス」と日立物流の事業コンセプト「LOGISTEED」との強い接点
  • 「SCM教育サービス」開始の手始めとして世界大会への出場を推奨
  • SCM世界大会に参加し「SCM教育サービス」の有用性を評価

導入の効果

  • 世界から400社超が参加する大会で日本企業過去最高位となる5位入賞
  • チームの結束力の強化と視野の拡大
  • SCMが分かる人材を育成し差別化
  • DXに SCMのノウハウを組み合わせ、お客さまの物流課題を解決

お話を伺った方

SCM教育サービスインタビュー
【写真左から】
営業開発本部 DX・イノベーション部 技師 藤波 翔平 氏
営業開発本部 サプライチェーン・ソリューション3部 主任 延 康裕 氏
ロジスティクスソリューション開発本部 スマートロジスティクス推進部 主任技師 西川 貴裕 氏
営業開発本部 DX・イノベーション部 技師 田中 佑輔 氏
営業開発本部 DX・イノベーション部 部長補佐 天春 洋平 氏

「LOGISTEED」で協創による領域拡大をめざす日立物流

SCM教育サービスインタビュー
西川氏

日立物流様の創業は1950年。3PL(サードパーティロジスティクス)の市場価値をいち早く認識し、サービスを開始したのは1986年のHB TRINETからのことである。お客さまの物流業務を包括的に請け負う3PL事業で、リーディングカンパニーとして業界を牽引してきた。
同社は、LOGISTICSに、Exceed、Proceed、Succeed、そしてSpeedを融合させたビジネスコンセプト「LOGISTEED」を立ち上げた。

--「3PLは他社も提供するようになり、差別化が難しくなっています。仕入れとなるトラックの単価や人件費も上がっており、経営環境は厳しさを増しています。このような中で、ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域へと拡大していくコンセプトが『LOGISTEED』なのです」と、株式会社日立物流 ロジスティクスソリューション開発本部 スマートロジスティクス推進部 主任技師 西川貴裕 氏は解説する。

同社では、LOGISTEED具現化のためにLOGISTEED CAFÉをオープンさせた。LOGISTEED CAFÉは日立物流ビル内に設けられたオープンイノベーション施設で、同社の歴史や事業を紹介する「Exhibitionコーナー」、物流現場を270度ワイドスクリーンで展開する「Theatre S」、イベントを行う空間「LxHUB」などで構成されている。

LOGISTEEDを牽引するDX・イノベーション部

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天春氏

--「LOGISTEEDを実現し、お客さまのイノベーションとビジネスのゴール達成を支援する組織です。社内から兼務者を含め16名を集めて組織化しました」と同社 営業開発本部 DX・イノベーション部 部長補佐 天春洋平 氏は語る。

同社のコアビジネスは物流である。荷主様から物流工程をアウトソーシングされたものが3PLであり、これも配送や倉庫業務などの物流である。だが、物流のみのサービス提供では、価格競争に陥ってしまう。
そこで、物流の前後の工程はもちろん、SCM全体を支援し、お客さまの物流課題をデジタルで解決しようとするのが、DX・イノベーション部のミッションである。

--「お客さまの要求に応じ、積荷を仕向地に移動するだけではお客さまからの満足を得ることはできません。お客さまの流通ネットワークを最適化してリードタイムを短縮する、あるいは倉庫を分散させて在庫の最適化を図るというような提案活動をしなければなりません」と、同部 田中佑輔 氏は訴える。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進

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延氏

具体的にはお客さまのデータを分析して、物流の課題を見える化し、解決策を提案する。例えば、大きな需要が首都圏と関西圏にあるにもかかわらず、流通拠点が遠隔地にある場合、ネットワークを再デザインし、シミュレーションを重ね、提案するといった活動である。

--「お客さまのサプライチェーン上の課題解決を、物流DXで支援する日立物流にはSCDOS(Supply Chain Design&Optimization Services)というサービスがあります。最適化・シミュレーション技術等の高度なIT(Information Technology)の活用と、物流事業で培ったOT(Operational Technology)の組み合わにより、お客さまに付加価値を提供します」と西川氏は強調する。

--「お客さまの抱えている課題を見える化しその解決を図っていく部隊ができたことは、営業としては大変ありがたいことです。新しい武器であり、新たなアプローチチャネルです」と営業部門である同社 営業開発本部 サプライチェーン・ソリューション3部 主任 延 康裕 氏も評価する。

世界SCM競技会への参加

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田中氏

DX・イノベーション部にはもう1つのミッションがある。社内のSCM人材の育成である。2020年早々から、SCM教材製作を日立ソリューションズ東日本と相談を重ねているうち、教育サービスのひとつとして勧められたのが「世界SCM競技会(GPC:Global Professional Challenge 2020)」への参加であった。
日立ソリューションズ東日本は、SCM教育サービスの柱となるサービスとして、オランダInchainge社と契約し、ビジネスシミュレーションを通じた体験型のSCM教育プログラムである、The Fresh Connection(TFC)トレーニングサービスを提供している。TFCはFortune Global 500の製造業トップ100社の40%、Gartner Supply Chain Top 25の過半が採用するほどの実績のあるプログラムである。
このTFCを利用したInchainge社主宰のSCM世界大会が例年実施されており、全世界の著名な企業が参加している。営業・調達・オペレーション・サプライチェーン担当の4人が1組となり、仮想企業TFC社の「ROIの最大化」を競う競技会だ。日立物流様はこの大会への参加を薦められたのである。2020年度は、予選ラウンドが4~5月、国内決勝が7月、世界大会が11月の予定であった。

--「DX・イノベーション部の母体となった営業開発本部には、SCMの知識も経験も豊富な若手が多く在籍していました。その中から精鋭を選び、4人チームで大会に参加し、当社の取り組みが世界に通用するかどうかを試してみることにしました」と、西川氏は参加理由を語る。

400チーム中、日本過去最高位となる5位に入賞

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藤波氏

こうして結成されたのが次のメンバーと役割であった。
● 天春洋平 氏 調達担当
● 田中佑輔 氏 SCM担当
● 延 康裕 氏 営業担当
● 藤波翔平 氏 オペレーション担当

チームは予選を通過し、国内決勝大会2位の成績で世界大会へと駒を進め、11月に開催された世界大会では日本企業過去最高位となる5位入賞に輝いた。この成績は業界では評判となって何件もの問い合わせがあり、米国現地法人の代表から確認の電話があったほどである。GPCは世界的な企業が参加するSCMのプロフェッショナル大会であり、初心者が太刀打ちできるレベルではない。

--「世界大会は4日間にわたって開催され、その日ごとに成績が発表されます。第2ラウンドではROIマイナス40%を記録するなど、慌てふためいた局面もありました。4人1組になって、同じゴールに向かって調整しながらゴールを目指しました」と田中氏は振り返る。

--「できる範囲の中でベストを目指さなければなりませんが、この点は日立ソリューションズ東日本の助言で特に心に残っていることです。実力以上のことをしようとすると、成績が下がり、すぐにマイナス評価になってしまいましたので、背伸びすることなく、身の丈を知ることの重要性を思い知らされました」と延氏も認める。

--「自分の担当だけに集中して作業を進めてはならないと分かりました。チームの他の人の役割も勉強して推し量りつつ推進しなければなりません。それができたことが、好成績につながったと思います」と、藤波氏は笑顔を見せる。

SCM人材育成プログラム作成に着手

SCM教育サービスインタビュー

--「元々我々は仲がよかったのですが、この大会に参加してさらにその結束が強まりました。そのようなチーム作りにもこの大会は有効です」と、天春氏も顔をほころばせる。

他社には専用のツールを開発して挑んでいるチームもあったが、日立物流様はエクセルベースの簡易的なシミュレーションモデルで挑んだ。

--「決勝進出を果たした他の企業の中には、大会のためにツールを開発し、情報武装をしているチームもありましたが、私たちは実業を通じて培ったノウハウやコミュニケーション力、チームワークを武器に戦いました。改めてITとOTを組み合わせることの重要性を感じました」と西川氏は評価する。

コロナ禍での大会であったことから、大会はすべてオンラインで行われた。日立物流様には、各国における滞在・業務経験を通じたグローバル人材育成プログラムも存在し、チームの多くのメンバーは英語が堪能、延氏にいたってはトルコ語も使いこなす。こうした背景もあり、メンバーは、競技会の隙間時間を利用しては、他の参加チームと積極的にコミュニケーションをとっていた。こうした取り組みは、世界決勝の最終ラウンドで求められた他チームとの共同購買を通じた枠組み形成時に功を奏し、最終的な好成績につながったに違いない。

--「TFCは大変有用であると評価されました。このことからも日立ソリューションズ東日本社のSCM教育プログラムの有効性を認め、2021年1月からの初級プログラムと中級プログラムの導入を決定しました」
(天春氏)。

今後の展開と抱負

SCM教育サービスインタビュー

ゲームを通して、視野が広がると皆が口を揃える。リードタイムの長い輸送手段を選択した方がコスト低減には繋がるが、お客さまとしては在庫がかさみ不利益になってしまうこともある。例えば、空路を陸路に変更することで、一見物流コストを削減できて喜ばれるように見えることもあるが、滞留在庫が膨らんで必ずしもメリットにはならないこともある。SCM全体の最適化を考えなければならない。

--「GPCの経験をこれからのコンサルティング業務に生かしていきたいと考えています。物流という1つの工程からではなく、お客さまが求めるビジネスのあり方全体を考慮して提案していきたいと思います」と、藤波氏は抱負を語る。

--「ゴールの明確なイメージが不可欠です。ゴールのイメージが共有できていないと、プロジェクト内に不調和が生まれ円滑に遂行できません。営業としてチーム全員に明確なイメージの提供を大切にしていこうと考えています」と延氏。

--「DX・イノベーション部は、発足してまだ間もないチームです。これから実績を重ねていきたいと考えています」と、田中氏。

SCMは人材に乏しく、系統立てて学べる場もまだ少ない。このような中で、日立物流様はSCMの重要性に目覚め、リーダーとなる人材の育成を進めている。

--「2021年1月から全社的にSCM初級編を開始します。次は中級編があり、この検討を重ねています。人材を育て、会社全体のSCMの底上げを図っていきます」と天春氏も抱負を語る。

--「労働力不足等の厳しい事業環境において、お客さまに貢献し続けるためには、物流というフィジカルなサービスに加えて、新たにデジタルを活用した新たなアプローチが必要です。我々は、SDCOS(Supply Chain Design&Optimization Services)の提供・深化に取り組み、お客さまのビジネスの成功に貢献し続けられる物流企業を目指します」と、最後に西川氏が締め括った。

※初級者向けプログラムには、日立ソリューションズ東日本が整備した1日プログラムを、中級者向けプログラムにはAPICS及びTFCの4.5日プログラムを、まずそれぞれご採用頂いています。

お客さまプロフィール (2021年3月末現在)

概要
社名 株式会社 日立物流
設立 1950年2月
本社 〒104-8350 東京都中央区京橋二丁目9番2号 日立物流ビル
資本金 168億200万円
従業員数 43,729名 (連結)
事業内容 3PL事業(国内・国際)、一般貨物・重量品・美術品などの輸送・搬入・据付作業、
工場・事務所などの大型移転作業、倉庫業、トランクルームサービス、産業廃棄物の
収集・運搬業、国際物流

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