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日立ソリューションズ東日本

設備保全とは?意味、目的、保守メンテナンスとの違い、種類、AIの可能性などを考察

IoT/AIによる工場の見える化コラム

設備保全とは

「設備」と言っても具体的な対象は、その企業によって多種多様です。例えば、製造業のお客様であれば工場の生産設備などの機械(工作機械などの加工機、炉や釜といったものも含まれます)を指しますし、レンタカー事業者や複合機のリースを行う事業者の場合は、貸し出す車輌や複合機など、またIT機器も設備資産と言えます。
全ての設備で共通するのは、設備は「問題なく稼働」することで価値を生み出すということです。言い換えれば、利益を産むためには稼働させることが必要です。
設備保全(equipment maintenance)とは、『設備が万全な状態で稼働できるように維持していく活動』となります。

設備保全を実施する意味と必要性

設備はなんの手当てもなく稼働し続けるものではありません。設備の経年劣化(老朽化)によってトラブルが出てくる可能性もありますし、消耗品に相当する部品もありますので、何の手当もしなければ、いずれトラブルが発生してしまいます。設備が万全でない状態では、生産効率の低下や不良品の発生、更には設備の故障に繋がり長時間の生産不能状態を招くことになり、最悪の場合は修理不能で設備を交換(再購入)することになるかもしれません。またその影響は、生産活動への影響だけではなく、故障が事故に繋ってしまい従業員の安全も脅かされてしまう可能性すらあります。
設備が万全な状態で稼働することを維持する活動、即ち設備保全は非常に重要な業務であると言えます。

設備保全の目的

設備保全の目的は、設備が異常で停止したり、壊れないようにすることであり、また停止したとしてもその停止時間を最小限とすることや、より長い期間稼働できるようにする(長寿命化)も目的に含まれます。

保守・メンテナンス・修理と設備保全の違い

保守・メンテナンスと設備保全の違い

保守・メンテナンスは、設備が故障しないように見守り、必要に応じた整備や修理を行うことであり、質的に設備保全と同じ活動を指しています。人によって(企業によって)使い分け方は違うかもしれませんが、設備を提供しているメーカー(またはそれを代替する企業)が行うサービスとしての活動は「保守・メンテナンス」と呼ばれ、その設備を使用している企業が自身の資産である設備を維持する活動を「設備保全」と呼ばれることが多いように思います。

修理と設備保全の違い

修理は、設備にトラブルが生じた場合に行う処置であり、設備保全で行う活動の一部であると言えます。
設備保全は、設備が万全な状態で稼働が維持できるようにするための包括的な活動です。

設備保全の業務内容・仕事内容

設備保全で行うべき業務の内容は、大きく分けると3つあります。

設備を定期的に整備する

ある一定間隔ごとに部品を交換するなどの整備を行います。ここで言う一定間隔は、法定の期間やメーカーが規定する使用期限などの基準に従う、または現場で取り決められた規則に従って実施することになります。

設備を点検・監視する

設備の状態を監視・測定して整備の必要性を判断します。日々の点検や設備を運転しながら計数を測定し、部品交換や調整が必要と認められた場合に処置を行います。

設備の故障を修理する

設備にトラブルが発生した場合に修理を行います。「ランプが切れたので交換する」のような通常的な処置もあれば、予防すべき重要な設備が故障してしまったクリティカルなケースもあります。後者は緊急保全と呼ばれ、できれば避けるべき事態です。

設備保全の種類と各保全の考え方

設備保全で行う業務は、そのやり方の違いで大きく「予防保全」と「事後保全」の2つの種類に分けられます。
どちらかだけを選択して行うのではなく、両方を組み合わせてバランスよく実施することが望まれます。

予防保全

「予防保全」は、トラブルが起きないよう予防するために行うという考え方に沿った設備保全です。
基本的にトラブルは起きないのが良いわけですから、予防保全を万全に行うのが理想ですが、全てに隈なく対応するには人員・労力が掛かります。

事後保全

「事後保全」は、トラブルが起こったら対処するという考え方に沿った設備保全です。
悪いイメージとして考えられることが多いですが、あえて予防保全しないと決めた設備に対する処置を行うことは問題ありません。例えば、自宅の蛍光灯は灯りが消えたりや点滅し始めたら交換しているケースも多いと思います。このようなケースに相当する処置は、予防保全に掛かる負担を軽減することができます。
一方で、予防すべき重要な設備が故障し対処するようなことは、できれば避けたい事態です。

予知保全

「予知保全」は、近年あらたに唱えられるようになった理想ともいえる保全です。
定期的スケジュールでもなく、事後でもなく、トラブルが起きそうなタイミングを予知し先手を打つのが予知保全です。近年は予兆検知モデルなどAI技術を活用し、設備のトラブルを予知することが研究されています。
予防保全の回数を削減しつつ、事後保全を実施すべき状況(トラブル発生)が起きる前に手が打てるため、今後期待されています。
予兆検知モデルを構築するには、これまで以上のデータ収集が必要になり新しい情報収集インフラが必要です。
また予兆検知の精度を上げるために様々な新しい技術が研究されています。

設備保全業務に必要な知識・スキル

工場の生産設備の場合、機械保全技能が必要であることに加えて、FA(ファクトリーオートメーション)化された設備など電気的に制御されている場合が多く、電気工事や制御情報に関する知識・スキルが求められる場合もあります。
更に、近年はIoT技術の導入、コンピューター制御も増えてきておりIT分野の知識があると、より発展的な保全が実現できそうです。

IoTやAIが与える設備保全の未来と将来性

近年の設備は、センサーやIoTデバイスでの情報収集が可能となるなど高度化されています。従来のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)によるプログラム制御に加えて、更に細かい情報の取得や外部からの監視・制御が可能となってきました。
予防保全での計画をより精緻なものにするには、細かで正確な情報収集が必要ですから、情報収集機能の高度化はメリットが大きいと言えます。ただし、詳細な情報監視ができるようになる一方で、設備自体のシステムも複雑化し、管理すべき情報も多岐にわたり複雑になってきます。従来どおりに一つ一つの計数を人の目や頭で管理していくのであれば、管理・点検作業のコストが高まる可能性もあります。
詳細に取得できるようになった情報をより有効に活用するためには、従来通りに使うのではなく、AIなどの新たなテクノロジーを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要になってきます。新たなテクノロジーを上手く活用できれば、全ての計数を隈なく点検する必要はなくなり、要約・簡略化された情報を総合してどういう判断を下せばよいかにフォーカスすれば良くなるでしょう。予測・予兆的な保全活動に繋がってくると考えられます。
つまりそれは、予知保全の実現に他なりません。

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