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工場IoTとは、工場のIoT化とは?

IoT/AIによる工場の見える化コラム

工場IoTとは、工場のIoT化とは?

工場は様々な設備で構成されています。製品を製造するための生産設備は勿論、そこで働く人々が快適に活動するための設備、工場の建物・施設そのものも設備の一種と考えることもできます。

それら工場の設備にIoT(Internet of Things)の機能を持たせるのが工場のIoT化です。

工場のIoT化の主な目的やできること

工場のIoT化によって、様々な課題の解決をはかることが出来ます。目的や出来ることを幾つか挙げてみましょう。

工場の効率化・見える化

従来から工場の運用では、様々な監視・記録を行う必要がありました。品質の良い製品を安全に製造するために必要な保全活動のため、また生産性を向上させるために生産工程の記録をとる必要があります。

設備保全活動の効率向上

従来、設備保全活動を行うために、生産設備に表示される計器類を点検者によって確認し記録する作業が必要でした。
IoT化によって、生産設備自身が現在の状態(計器/センサーによる測定値)をデータとして送信できるようになります。
人の手による確認と記録作業が不要となること、巡回の手間・時間が節約できることから作業効率が向上します。
また、従来は手順の関係で取得を見送っていたようなデータも含め、種類/粒度/タイミングを細かくすることも可能となり、分析などにも活用できるようになります。
IoTで収集したデータは、EAM(Enterprise Asset Managemant)など生産設備管理システムで活用することもできます。

稼働の見える化

生産設備の性能など能力を上げることでの生産性向上では、新たな生産設備の導入(入れ替え)に大きな投資が必要です。
一方、非稼働を稼働に変える、可動率(べきどうりつ)を向上させることは比較的低投資で実現できる生産性向上と考えることができます。
しかし、従来行われていた稼働実態の記録は、工程報告書や作業日報に記入する形が多く、チョコ停・待機などの細かな非稼働を定量的に把握することが困難でした。稼働が正しく把握できていなければ改善策も立てようがありません。
そこで、生産設備のIoT化を図ることによって、正確な稼働/非稼働をタイムリー、かつ正確に把握きるようになり、QC活動で具体的な検討が行いやすくなる等、生産性向上に役立てることができます。

トレーサビリティの実現

生産設備のIoT化、また材料、仕掛品、製品の識別タグ管理によって、製品トレーサビリティを実現しやすくなります。
また、生産設備の状態を細かなデータとして記録し蓄積。品質との関連を分析して製品開発に役立てることや、また問題が生じた際に関係する仕掛品・製品の特定など品質保証の向上など、サプライチェーン全体の改善に役立てることも出来るでしょう。

スマート工場の実現

前述した幾つかのIoT活用は、個々の改善施策としても導入できますが、それらのデータを集約・蓄積し活用することで、相互のメリットを連携・強化することができます。

場合によっては、AIテクノロジー等も連動させることで、これまで人手に頼らざるを得なかった業務や、特定の熟練者にしか出来なかった業務、そしてそれらのシームレスな連動を、IoTとITシステムによって実現できるようになります。

従来業務の代行としてだけではなく、IoTの情報取集能力とコンピューターならではの計算速度を使った新たなイノベーション(例えば、生産設備の異常検知など)にも繋がってきます。

工場IoT化のメリット

工場のIoT化によって精緻で多様なデータを収集しスマート工場の実現に近づきます。IoT化とスマート工場の実現によって、例えば以下のようなメリットが考えられます。

業務・人員配置の適正化

巡回・点検業務などの人員や工数を削減し、その他の生産業務への人員シフトなど、生産性向上に寄与する配置の検討が可能となります。

迅速な判断と対応

リアルタイムの情報収集とITシステムによる高速処理を活用し、生産設備トラブル発生時や急な需要変動の発生時に、現場や経営層の判断に必要な情報を迅速に提供できるようになります。

異常検知、故障予測

事後保全を減らし、計画保全を推進するために必要な生産設備の状態や稼働記録を取集することが可能となります。
また、異常検知・故障予測による予知保全にも繋がります。

技術の形式知化と伝承

従来の製造現場に存在する暗黙知(熟練者の経験や勘など)をIoT化で測定できれば形式知化につながります。技術の伝承など現代の社会的課題解決に役立つと考えられます。

工場IoT化の課題

近年は、IoT対応済みの生産設備も多数登場しています。しかし現場では、必ずしもIoT化が浸透しているところばかりでは無いようです。以下に、工場IoT化の課題を挙げます。

古い生産設備の存在

工場では多様な生産設備が稼働しています。コンピューター制御できるFA(Factory Automation)化された生産設備や、最新のIoT対応設備もありますが、シンプルな古い機械も現役で稼働している場合も多いのが実際です。全ての古い生産設備を最新式のIoT対応設備に更新するのは、大きな投資が必要あり現実的でありません。
そこで必要な考え方が、レトロフィットIoTです。古い生産設備にセンサーなどIoT対応機器を後づけすることで、稼働データを収集する考え方です。例えば、稼働ステータスを表す積層信号灯(シグナルタワー)にセンサーデバイスを組み合わせる方式や、電流センサーを後づけするなどの方式があります。

工場IoTのセキュリティ強化

従来の工場で使われていたFAネットワーク対応機器は、外部ネットワークとの接続を行わない工場で完結された環境を想定したものが殆どでした。IoT化においては、インターネットなど外部ネットワークとの接続を想定しなければなりません。もちろんIoTだから必ずインターネットに接続しなければいけない事もなく、まずは社内ネットワークからという考え方もできますが、通信機器やプロトコルも従来のFAに閉じたものではなく、より自由度・選択肢の高い方式を想定しなければいけません。
実際、これまで既にIoT機器やFA機器を踏み台にして、別のサイバー攻撃に利用されるなど悪用されたケースもあります。(2016年に発見され世界中に広まった”Mirai”が有名であり、今でもその亜種のリスクが残っていると言われています。)
工場のIoT化では、従来重要視されてこなかった工場ネットワークのセキュリティ対策、IoT機器の増加によるエンドポイントの急増などに対応するべく新たなセキュリティの仕組みも求められてくると考えられています。

工場IoTの事例/ユースケース

食品工場のIoTユースケース

食品工場では、社会的課題でもある働き手不足への対応や、食品安全性の観点から、現場に介入する人の手を減らす(省人化)の流れが存在します。そのためIoT技術も活用された製造ラインの自動化やロボットの導入も進みつつあります。
また、食品安全性の観点から挙げれば、HACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)への対応があります。HACCPは、米国が起源の食品の安全のための管理手法ですが、規格化が進み各国で法整備と規制が進んでおり、日本でも2020年6月より義務化されています。
HACCPの管理手法のひとつに、CCPモニタリング(CCP:Critical Control Point/重要管理点)がありますが、その実践では、定期的に生産設備の運用基準(温度管理など)を測定し記録する必要があり、巡回・記録が必要でした。
このモニタリング実施にはIoT活用が有効です。人手を介さず定期的な記録ができるだけでなく連続的・常時監視が実現できること、また無人・省人化の実現、更にはリスク予測などに役立てられているケースもあります。

工作機械のIoTユースケース

工場で稼働する生産設備の稼働を把握するために稼働データを収集したいというニーズは多く、企業の一部では生産技術部門自らPLC(Programmable Logic Controller)のプログラムを編集してデータ収集を試みている場合もあります。

一方で、PLCとは異なる制御系であるNC工作機械は、生産設備のユーザ自身でデータ収集のプログラムを記述することは困難とも言われています。近年は、工作機械メーカ自身が、IoT化機能を提供を開始しており、そのシステムを導入すれば、稼働監視から制御データ収集などを実現できるようになりました。
ここで課題となるのが、工場には最新のIoT機能を付加することのできないような古い世代の生産設備が多数稼働していることです。古い生産設備も含め稼働実態を把握し生産性向上に役立てたいという声も多く存在します。
そういったケースのソリューション導入事例のひとつに、積層信号灯(シグナルタワー)とIoTデバイスを組み合わせたケースがあります。積層信号灯の点灯データをIoTデバイスで収集、また信号灯が搭載されていないような更に古い機械でも、電流センサーを組み合わせて稼働ステータス(運転中/停止中)を記録することができます。
収集した稼働ステータスは、リアルタイムでの遠隔監視や稼働率把握による生産性分析に役立てられています。

工場IoTソリューションとは?

工場IoTソリューションとは、工場で稼働する機械・工具・施設などの生産設備にIoT機能を付加し、実装されたIoT機能を活用して情報収集し利活用することで、生産性や品質、安全性などの課題を解決に役立てるソリューションです。

スマート工場を実現するにあたって、入口にあたるソリューションとも考えられます。IoT化とスマート工場化はイコールではありませんが、スマート工場を実現するために必要な情報(データ)を収集するためには、不可欠な要素と位置付けられます。

日立ソリューションズ東日本が提供する工場IoTソリューションには「生産性向上IoT/データ分析ソリューション WellLine」があります。このソリューションは、生産設備稼働の向上にフォーカスをあて、古い生産設備も含め工場で稼働する多くの生産設備から稼働ステータスを収集し、マシンオペレーター等の人の稼働データと組み合わせて可視化・分析することで生産性向上をご支援するものです。

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製品カタログなどもございますので、お気軽にご確認ください。

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