2013年1月1日までに発表された論文については、本文中の記載が旧社名になっております。ご了承ください。
本研究の検索システムは、類似情報検索および特徴語による絞り込み検索方法を特徴とする。本システムは、蓄積している文章間の関連を元に検索文に該当する文書群を検索する。さらに、検索結果の文書群から特徴となる言葉(特徴語)を自動的に抽出し、特徴語同士の関連を視覚的に表示する。ユーザは、表示された特徴語を選択していくことで、膨大な検索結果から目的の情報を探し出す手間や、検索結果を絞り込むための適切な追加検索キーを考える手間を省くことができ、容易に目的文書を得ることが可能となる。
また、本システムにおける検索で、文書の特徴語をその文書の属性情報(メタデータ)として利用することで文書の体系化が容易になる。このメタデータが付与された文書の検索に対して本システムを適用することで、文書管理者側が一意に定めた概念の階層(ディレクトリ)ではなく、ユーザ個人の思考にあった検索を行うことが可能となる。
与信ポートフォリオは利益の最大化とリスクの最小化という二つの目的を持つ多目的最適化問題であり、複数のパレート最適解が存在する。意思決定を行う銀行経営者にとって選択肢となる複数の解を、一度に効率よく求めるために多目的遺伝的アルゴリズムを用いた与信ポートフォリオ最適化の研究を行った。利益の分散、バリューアットリスクなどのリスクの指標をモンテカルロシミュレーションによって求め、遺伝的アルゴリズムの適合度として用いた。実際の融資データをもとに作成したデータの最適化を行い、優れた与信ポートフォリオを計算できること、また意思決定者にとって有用な複数の選択肢を出力することを確認した。
日立東北ソフトウェア(株)では、設立以来、東北大学金属材料研究所殿を始めとし、東北大学電気通信研究所殿、北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科殿など多くの大学研究機関との技術連携、研究員派遣等の取り組みを行っている。一方、2002年度より早期新事業確立への新しい取り組みの一つとして、明確な事業化を視野に入れた新しい形の産学連携を加速中である。これは大学および研究機関の成果をビジネスの観点で実証・分析・評価し、ビジネスパートナーとして協力関係を構築していくというものである。本報告では、その中から、東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター殿、および北海道大学大学院工学研究科都市防災学研究室殿と協力した防災事業への取り組み、また、静岡理工科大学社会情報工学研究室殿と協力したバス事業者向けソリューション事業への取り組みについて紹介する。
日本原子力研究所殿は、複数機関の高性能スーパーコンピュータをネットワークで接続して統合運用し、他機関との共同研究を可能とすることを目的とした仮想研究環境ITBL(Information Technology Based Laboratory)システムを開発した。日立東北ソフトウェア(株)では、TBLの開発母体となったSTA(Seamless Thinking Aid)を開発した実績から本開発に参画し、主として通信基盤と分散環境下でのプログラム開発・実行機能の開発を担当した(日本東北ソフトウェア(株)は富士通(株)と共同企業体を結成して受注)。
ITBLシステムは、現在、ナノテク分野、量子生命学分野、災害シミュレーション分野などで、研究コミュニティを形成し、それぞれの分野の計算プログラムを利用できるよう整備を進めている。
Gridコンピューティングの分野では、米アルゴンヌ国立研究所などが中心となって整備を進めているGlobus Toolkitが事実上の標準となりつつある。今後ITBL基盤ソフトとしても、Globus Toolkitに基づく利用者プログラムを実行可能とするように、対応を進めていく必要がある。
Webインテリジェンスとは、Webを活用した高度な知識情報システムを開発するための技術の総称である。EIP(Enterprise Information Portal)などを実現するためのIT戦略の中核技術として、そう呼ばれる場合もある。
日立東北ソフトウェア(株)では、パッケージ製品「知識交流システム」を通じ、ユーザにWebインテリジェンスの技術を提供している。「知識交流システム」では、ログインユーザ毎のエージェントが自分に成り代わって情報収集して配信する機能や、公開メーリングリストや個人ホームページといった、Webにおけるコミュニティの発見と支援を行う機能を持っており、Webインテリジェンスを実現する要素技術を保有している。
本論文では、この「知識交流システム」のWebインテリジェンスを実現するためのエージェントの新しい機能の検討と、試作およびその評価について述べる。
流通業における情報化では、意思伝達・コラボレーションを行うグループウェアの導入が進められているが、営業の現場では有効に活用されていない。また、営業の現場からの回答を人手で整理しなければならず、管理業務の効率向上が必要とされていた。この課題を解決するため、安価で運用の簡単な情報伝達パッケージとして、電子メールを利用して通達業務を実現する「通達名人」を製品化した。本社側・支店側とも通達業務の流れに特化した操作画面により、通達の作成と回答、回答の集計管理が簡単な操作で可能になる。またスプレッドシートを利用した数値データの集計報告業務にも対応している。今後は社内従業員向け通達・意思伝達、金融機関など他業種への適用、オープンPOSやモバイルプラットフォームへの拡充を図る。
SCM(Supply Chain Management)システムは、ERP(Enterprise Resource Planning)などを含む業務実行システムとSCP(Supply Chain Planning)などのプランニング・意思決定支援システムから構成されてる。日立東北ソフトウェア(株)は、需要予測システムForecastPRO、生産計画システムにLoadCalcの2つのパッケージを核としたSCPソリューションを顧客へ提供している。今回、このSCPソリューションを適用した消費財製造企業では、本システム導入のほか現場改革も進めたことにより、当初目指していた在庫削減30%(金額ベース)を達成した。
不良債権問題は、長引く経済の低迷からの脱却と金融システムの健全化に向け、第一に解決すべき課題である。しかし、単に現状の不良債権を金融機関のバランスシートから切離すだけでは問題の本質的な解決とはならず、今後発生するであろう新たな不良債権をいかに抑制するかが、融資企業をマネジメントする上で重要な管理課題となる。
融資業務に対する支援システムも、信用リスク管理や融資稟議支援など、これまでは個別に構築されてきたが、融資先の経営改善に寄与する機能の観点から見ると、システム間の連携を含め見直す必要がある。本論文では、融資業務全体像の見直しをした上で、日立東北ソフトウェア(株)から提供する製品を含めたシステム体系および、今後のソリューション展開について述べる。
経営環境がますます複雑、かつ不確実なものになる中で、意思決定時にはリスクとリターンの両方を評価する必要がある。リスクを定量化して様々な角度から分析するリスク分析手法の中で、モンテカルロシミュレーション(不確実性を確率と幅で定義)とディシジョンツリー分析(起こり得るオプションとイベントを論理的かつ時系列に繋げて定義)は代表的な手法であり、Palisade社のリスク分析システム@RISKシリーズは、このようなリスク分析をMicrosoft Excelのアドイン機能で可能にしている。
ビジネスの様々な場面で不確実性を管理し、リスクを考慮した上で意思決定を行うために、本報告で述べるリスク分析手法は有効である。
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