2013年1月1日までに発表された論文については、本文中の記載が旧社名になっております。ご了承ください。
近年,農作物の契約出荷を行う農業法人が増加している。農作物の生育は季節や天候などさまざまな要因による影響を受けやすく,契約出荷を履行できるよう計画的に農作物を生育することは難しい。本稿では契約出荷される農作物の計画生産を支援するための生育予測手法を提案する。本手法では季節による農作物の生育の仕方の違いを考慮できるよう季節ごとに予測モデルの係数を推定する。農業法人でのハウス栽培ミズナの栽培実績データ1 年分を用いて,収穫予定日の10 日前を起点として収穫日の草丈長さと出荷ケース数の予測精度を求めた結果,農業法人が実用上必要な精度で草丈長さと出荷ケース数を推定できることが分かった。また季節の違いごとに生育予測モデルの係数を推定することで予測精度が有意な水準で改善することも分かった。
需給調整業務のリソースが限られている中堅中小企業では,取り扱う製品数が多い場合,すべての製品に対し安全在庫や発注点などの発注基準の見直しを定期的に実施することは困難であった。その結果,需給状況と発注基準の乖離が生じ,過剰在庫や欠品が発生していた。この問題に対し,本論文では効率的な発注基準適正化システムを提案する。提案手法では,シミュレーションにより将来過剰在庫や欠品などの問題が発生しそうな製品を絞り込むことにより,発注基準調整業務を迅速化する。これにより,発注基準の更新業務を定期的な業務として組み入れることが可能になり,在庫の適正化が期待できる。
保守員の故障日報やコールセンタログ,twitter やブログなど,大量の時系列テキストデータが活用できる状況となっている。従来は人手でデータの分類・整理を通してデータを活用してきたが,現在は人がすべてを把握できる量をはるかに超えたデータが活用できる状況である。これら大量データの活用による価値ある情報の抽出が注目されており,分析者のサポートのため機械的な集計や全体的な傾向の分析技術が必要となっている。本報告では大量テキストデータの全体像を俯瞰するため,時間ごとにデータを区切り,各時間のデータを前後の時間と同様の基準で話題を分類できる技術の開発を行った。サンプルデータで検証した結果,過去の話題の流れを追った時間ごとの話題の分類ができ,従来技術では難しかった新規話題の発見もできることが確認できた。
ビジネス分野でのスマートデバイスの活用ニーズが増えつつある。しかしこれらは従来のPC などとは異なる特徴を持つデバイスであり,業務への適用に際し新規アプリケーションの開発や,既存システムとの連携機能の開発が必要となる。開発に要する初期コストが,業務へのこれらデバイス導入の障壁となっている。 本稿ではスマートデバイスの業務適用を容易にする技術の確立を目的に,これらのデバイスから任意の業務データベース(DB)の参照・編集を可能とするDB 連携アプリケーション向けフレームワークを提案する。本フレームワークを用いてアプリケーションを構築することにより,開発工数・期間を削減できる。
(株)日立東日本ソリューションズの製品であるプロジェクト管理ツールSynViz は,現行製品がカスタマイズ性強化のニーズの高まりに対応できていない問題があった。この課題を根本的に解決するため,われわれはWeb APIとカスタマイズ機能を備えた次期SynViz の製品基盤を研究試作した。 Web API はREST アーキテクチャを採用したことで,ネットワーク経由でSynViz のデータにアクセスすることができる。クライアントを選ばずデータ連携バッチ処理などさまざまな用途に使用できる汎用性を備えるとともに,後方互換性を維持し製品本体がバージョンアップしてもWeb API を利用したプログラムは変更なしに利用できる設計とした。 カスタマイズ機能はモディフィケーションの必要なく,ユーザ定義のデータ項目や独自に開発した画面を追加する仕組みを提供する。 これらの成果により,一度作成したカスタマイズ機能をノウハウという形で蓄積し,お客様に安く早くよいソリューションを提供できる素地ができた。今後はビジネスパートナーとの連携を強化し,新しいSynViz を核とする協業ビジネスを推進していく。
事業環境の変化から製造業の海外進出,特に生産拠点の海外移転が加速度的に進行しており,国内外をグローバルに連鎖するPSI(Production Sales Inventory)を効率的に管理する仕組みの必要性が高まっている。本稿では,グローバルPSI を需要領域(Outbound)と供給領域(Inbound)にモデル化する。供給領域にSynPIX を適用し,計画リードタイム削減,在庫半減という導入効果が得られたことで供給領域とSynPIX が持つ機能の親和性を確認できた。一方で,性能改善・同時実行制御というSynPIX の課題が明らかになった。SynPIX 次期バージョンではこれらの課題の改善に取り組んでいく。
(株)日立東日本ソリューションズではこれまで,約9年間にわたりテキストマイニング製品であるCoreExplorer の販売や,テキスト分析によるソリューションを展開してきた。製造業のお客様を中心に,公共・文教,流通・サービス,金融・保険,病院,研究所など様々な業種で分析の提案を行い,実績を積んできた。近年市場では,ソーシャルメディアやビックデータの分析ニーズが高まっていることから,テキストマイニングの市場が拡大している。これら市場の動向やお客様からのフィードバックを踏まえ,CoreExplorer の事業計画の見直しを行った。今後の事業計画は,2012 年度下期で製品のメジャーバージョンアップを行い,事業拡大に向けた製品力強化を図る。その後の事業展開はCoreExplorer のクラウドサービスの展開、分析エンジンのAPI 化、さらに日立グループとの連携によりシナジー効果を生み出しいくことを目指している。
近年,スマートフォンなどの急速な普及に伴い,これらを企業の情報システムに活用しようとする動きが活発になっている。この急速に拡大する市場では新たなセキュリティの脅威として不正なアプリケーション(以下不正アプリ)の対策が急務になっている。先頃,発見された不正アプリは,バッテリの節約と称して機器内部の個人情報を採取するものであった。これは,従来のウィルスとは異なり,外部から不正アプリであることを見破ることが難しいとされている。 このような背景のもと,(株)日立東日本ソリューションズ(以下日立TO)は,不正アプリの対策機能をもつ企業向けのセキュアブラウザ「Custom Browser for Android」を製品化し,企業の個別要件にも対応するカスタマイズサービスと合わせて販売を開始した。急成長する市場でより多くの企業がスマートフォンなどを安全に業務活用できる環境整備に向けて機能拡張を進めていく。
東日本大震災では,原子力発電所の事故により近隣自治体で全住民避難が継続するという状況が発生した。このため,自治体の移転と,避難所・仮設住宅・県外移住という住環境の分散が発生している。筆者らが支援した福島県の自治体では,避難家族の構成と最新状況に応じた住環境の提供に加えて,通勤・通学,ペットなど,生活に関わる要請に応えるサービスニーズが復旧・復興に向かう過程で現れている。分散したコミュニティを支援するための要件を整理してシステムを構築した事例では,ニーズの変化に応じた段階的開発をおこなった。福島県とは異なる避難状況と住民ニーズがある岩手県の自治体では,当該自治体に属する仮設住宅など,住居の管理を中心とした住民支援サービスを構築した。
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