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テクニカルレポート第13号

2013年1月1日までに発表された論文については、本文中の記載が旧社名になっております。ご了承ください。

ソフトウェア開発企業における業務プロセス改革とプロジェクトの見える化

当社((株)日立東日本ソリューションズ)では近年、ビジネス規模やSI事業の拡大といった事業環境の変化に伴い、大幅な赤字となるプロジェクトの失敗によって全体の経営に重大な影響を与える案件が発生している。そこで、レインボープロジェクトを称する社内業務の変革プロジェクトを立上げ、ソフトウェア開発企業としての価値提供プロセスの改善を目的に、営業~システム構築~保守サポートの一連のプロセスにおいてプロジェクトコードを導入し、従来のコスト管理の最小単位である作番管理からプロジェクト活動の全スコープに対応した管理体系への変更を実現した。また同時に、情報利活用のインフラを、ソフトウェア開発企業に適した形で整備した。
本報告では、当社で取り組んだ社内プロセス改革の概要とプロジェクト状況の見える化の実現について述べる。

中小規模製造業向け生産管理システムの標準導入プロセスの構築

(株)日立東日本ソリューションズ(以下、日立TO)は、(株)日立製作所のパッケージ『GEMPLANET/WEBSKY』(以下、WEBSKY)をベースに中小規模製造業向け生産管理システム構築のSI事業を行っている。今回、このシステムに日立TO独自技術である生産計画パッケージ『SynPIX』を標準連携させることで製造現場のPDCAサイクル、特に計画分野を強化したソリューションの提供を可能とした。また、システム構築にはプロトタイピング手法を採用し開発期間の短縮を目指した。
本文では、ソリューション開発の背景とその特長について述べる。

ソフトウェア開発の標準リスクに着目したプロジェクトリスクの特定

ソフトウェア開発プロジェクトのリスク管理は、プロジェクトを成功に導くための重要な活動である。過去のリスク管理経験などを集約した標準リスク管理プロセスがすでに提案されている。しかし、多くのプロジェクトではプロセスに沿ったリスク管理が実施されておらず、プロジェクトの成功は未だ困難である。
プロセスではまずリスクの特定を行うが、プロジェクト関係者が具体的なリスクを漏れなく抽出する必要があり、リスク特定作業の実施コストは大きい。これが、プロジェクトでの標準リスク管理プロセス導入の障害となっている。本報告では、プロジェクトの前提条件とソフトウェア開発の標準リスク、および過去のリスク事例との間の関係を分析し、前提条件に適したリスク事例を網羅的に参照する技術を開発した。これによって、リスク特定作業が効率化され、コストの低減が期待される。リスク管理プロセスを実施する実際のプロジェクトに本技術を適用し、実行コスト低減効果やプロセス自体のプロジェクト成功率への効果を評価中である。

サプライチェーンに関わる事業継続性評価シミュレータの研究

近年、自然災害やシステム障害などが事業に大きな影響を与える事例が相次ぎ、災害等が発生しても事業を継続させるための事業継続マネジメント(BCM)の重要性が増している。製造業ではサプライチェーンによって複数の拠点を通して事業が行われる。したがって、一拠点の障害がサプライチェーン全体に影響を与えるため、サプライチェーン全体の事業継続計画(BCP)の策定・評価が必要とされている。本報告では、製造業のサプライチェーンのBCPを対象とするBCP評価シミュレータを提案する。提案システムにより、災害直後に代替拠点を設置する対策など、様々なタイミングでの対策シミュレートを実現した。また、シミュレーションにより、サプライチェーンのBCPのキャッシュフローとバックオーダを定量的に評価できる。

金融機関の信用リスク管理におけるデフォルト率推定のための共変量の自動設計

信用リスク管理は金融機関にとって最も重要な業務の一つである。企業あるいは個人が債務不履行になる確率をデフォルト率という。デフォルト率の推定に用いられるモデルの一つに二項ロジットモデルがある。このモデルは高精度にデフォルト率を推定できるが、その共変量の設計が困難であるという課題がある。一般に共変量は専門的の試行錯誤によって設計される。本論文では、この共変量を自動設計する手法を提案する。提案手法では、遺伝的アルゴリズムによって共変量を設計し、各共変量の係数を準ニュートン法の一つであるBFGS法によって求める。数値実験によって、本手法より優れた共変量を設計できることを確認した。

影響ダイアグラムによるプロジェクトの価値評価と時系列機能の提案

プロジェクト実施の可否や、継続、中断の意思決定を適切に行うためには、プロジェクトの価値の定量的な評価が必要である。一般にプロジェクトの価値を直接推定するのは困難であるが、価値を構成要素に分解して考えると、個々の要素は容易に推定できる。影響ダイアグラムは、対象とする"モノ"の数値を、それに影響を与える要素に分解して評価する図的ツールである。プロジェクト価値評価では各要素の時間的な変化の考慮や、多期間にわたる価値を評価し、それらを現在価値に割引くなどの処理が必要となる。複数期間を扱う影響ダイヤグラムは巨大になりがちで、作成・編集が煩雑で非実用的となってしまう。本報告では、ダイアグラムを構成する部分ネットワークおよび期をまたぐ矢印の設定に制約を設け、扱いやすい時系列機能を提案する。提案ツールを用いれば多期間の影響ダイアグラムの扱いが容易になるとともに、利益の確率分布、信頼区間の時間変化を可視化し、期待値だけでは把握できないリスクなども意思決定に活用できるようになる。また、NPV、DCF、ROAなどの分析をより正確に実施できる。

地域金融機関向け融資支援システム構築サポートへの取り組み

(株)日立東日本ソリューションズ(以下、日立TO)では、金融業界の競争激化やリレーションシップバンキング推進を背景としたシステム構築ニーズが高まりを見せる中、地域金融機関向け融資支援パッケージであるCreditNaviをベースとしたシステム構築サポートを展開している。CreditNaviを融資支援の全体プロセスの中に組み入れることで、リレーションシップバンキングを実践的に支援するソリューションが可能となる。

COBOL言語の評価と展望

現在、企業では市場変化への迅速な対応を行うための次世代ITインフラへの移行が進んでいる。そのなかで、現在の情報システムの主要部分を担う、COBOL言語で記述された膨大な資産に関する移行の問題が注目されている。ここでは、生産性、保守性、機能性の観点でCOBOL言語の分析を通して、ビジネスロジックの記述言語としてCOBOL言語に優位性があると評価する。また、今後も企業のビジネス基盤を支え続けるためにCOBOL言語に求められるソリューションを検討し、「標準化」「可視化」「モデリング」を軸にしたソリューションを提案する。

複数視点からのテキストマイニングによる設計品質の向上

テキストマイニングとは、大量のテキスト情報を分析して有用な情報を得る技術である。本論文では、製品開発における設計品質の向上を目的とし、不具合事例データベースを分析した事例について述べる。一般的なテキストマイニングでは、単語どうしの関連性の可視化や属性情報とのクロス分析を通じて分析結果を提供するが、設計品質向上を主目的とした不具合要因分析に適用した結果についての研究例は少ない。そこで、テキストマイニング技術を活用した不具合分析における分析モデルを構築し、当社のテキストマイニングシステムCoreExplorerへの実装と評価を行った。その結果、現象一原因の関係性分析などにおいて一定の効果が得られることを確認した。

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