販売パートナーインタビュー
激しく変化する製造業DX市場において、ソリューションベンダーは「すべての機能を自社開発するか」、それとも「有力な外部ソリューションとアライアンス(協業)を結ぶか」という選択を迫られている。
エンジニアリングITの専業ベンダーである株式会社図研プリサイト(以下 図研プリサイト)様は、自社の主力であるPLM(製品ライフサイクル管理)システム『Visual BOM』の価値を最大化するために、後者の戦略を選択。日立ソリューションズ東日本の工程管理ツール『SynViz S2』をOEM採用した。かつては自社開発を中心としていた同社が、なぜ戦略的にOEMへと舵を切ったのか。10年にわたり強固なパートナーシップが続く理由と、協業が生み出す相乗効果について伺った。
■ 株式会社図研プリサイト 営業部 部長 兼 販売促進課 課長 倉本 将光 氏
昨今のモノづくり産業において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や働き方改革は喫緊の課題となっている。
特に、業務効率化や属人化の解消、および技術伝承の実現は、企業の競争力に直結する重要なテーマだ。
--「『知っているから早い』『知らないから遅い』ということは日常にありふれています。非効率な業務に対して意見を出し合い、ナレッジを活用して業務効率化に結びつけることが、身近なところから始められる働き方改革の第一歩です」と、株式会社図研プリサイト 営業部 部長 兼 販売促進課 課長 倉本 将光 氏は強調する。
PLMとしての完成度を追求する中で、図研プリサイト様はすべてを自社で賄うのではなく、あえて他社製品のOEM採用という道を選んだ。
その背景には、エンジニアリングITの専業ベンダーとして「顧客にとっての最善は何か」を突き詰め、自社の強みを最大化するための戦略的な判断があった。
以前はプロジェクト管理ツールを自社で開発・提供していたが、製造業特有の多様な操作性への要求や、細部にわたるカスタマイズに自社リソースだけで応じ続けることの難しさに直面していた。
--「お客様の要求が細部にわたることが多く、『操作感』という意味で、自前の開発リソースではお応えし続けることが難しいと判断するに至りました」と倉本氏は当時を振り返る。
そこで下した判断は、自社開発の維持に固執するのではなく、強みであるPLM領域へリソースを集中させることだった。
自社プロジェクト管理ツールにおける開発・保守工数の肥大化を避け、有力な外部ソリューションを活用することで、事業効率と提供するソリューション全体の質を最適化する道を選んだのだ。
特筆すべきは、その意思決定の順序である。最初から「外部ツールへの切り替え」ありきで動いたわけではない。まずは自社製品の販売を終了するという不退転の決断を下し、そこから白紙の状態で、自社の理想を共に実現できるパートナー探しを開始したのだ。
--「他社のツールを探すより先に、『自社開発はやめる』という方向性が決まっていました。すでに向かうべき方向が定まった段階で出会ったのが『SynViz S2』だったのです」
選定にあたって最も重視されたのは、高度な工程管理機能と直感的な操作性の両立だ。PLMという専門性の高いシステムと連携させるからこそ、関係者が「いつまでに誰が何をするのか」を即座に把握できる優れたユーザビリティは、不可欠な要件だった。
--「PLM側で複雑な操作をする以上、プロジェクト管理はストレスなく動かせることが重要です。自前のソリューションでもまさにその点で苦戦していたため、淀みのない操作感が大きな決め手でした」と倉本氏は選定理由を語る。
加えて、外部システムとのシームレスな統合を可能にするAPIの公開も、重要な評価軸となった。将来にわたる拡張性が担保されていることが、図研プリサイト様の理想のソリューション構築において、極めて重要な選定基準の一つとなったのだ。
協業をさらに前進させたのは、単なるOEM供給という枠組みを超え、自社の市場戦略を深く理解し、尊重する日立ソリューションズ東日本の姿勢だった。
--「システム間の連携性はもちろんですが、提案や導入後のサポートにおいて、当社の動きに足並みを揃えて柔軟に支援いただける体制を重視していました。その点で、日立ソリューションズ東日本社には期待に十分お応えいただいています」と倉本氏は語る。
形式的な契約関係に留まらず、相手のビジネス展開や市場特性を真摯に汲み取る姿勢--それこそが、10年にわたって良好な関係性を維持してきた確固たる土台となっている。
『SynViz S2』をOEM採用し、自社ブランド『Visual BOM/Project』としてラインナップに加えたことは、図研プリサイト様の営業戦略をより強固なものにした。
外部製品を個別に選定・紹介する形から、自社ソリューションの一部として体系化したことで、提案のスピードと質はどのように変化したのか。
協業以前、顧客から工程管理の要望が寄せられた際には、案件ごとに自社ツールでの対応が難しい案件については営業担当者が最適な外部ツールを探し出し、その都度、紹介の可否や連携条件をすり合わせる必要があった。こうした個別の調整プロセスは提案までのリードタイムを長期化させ、商談のタイミングを逃しかねないという大きな課題を生んでいた。
--「案件のたびに他社とコンタクトを取り、『こういう形で紹介したい』と調整したうえでようやく紹介できる状態でしたので、相当な時間を要していました」と倉本氏は振り返る。
協業により『SynViz S2』が『Visual BOM/Project』としてシリーズのラインナップに加わったことで、状況は一変した。
他社ツールとの調整に割いていたリソースを、顧客への提案活動そのものに集中できるようになったのだ。これにより、『Visual BOM/Project』としての付加価値を、よりスピーディーに提供することが可能となっている。
さらに、製品単体での販売体制も確立されたことで、「まずは工程管理から着手したい」という顧客に対して段階的な導入を提案する道も開けた。
これにより、提案辞退による機会損失を防ぐだけでなく、商談の間口を広げるドアノックとしての新たな役割も期待されている。
図研プリサイト様自身が、顧客への導入プロジェクトを管理する実務において『SynViz S2』を標準ツールとして広く活用している。
単に製品をラインナップに加えるだけでなく、自らが一ユーザーとして使い込み、その実効性を日々確認しているという事実そのものが、商談において製品の有効性を裏付ける強力な根拠となっている。
--「商談の場で、当社でも活用していることをお伝えすると、『図研プリサイトさんも使っているなら安心ですね』とおっしゃっていただけます。実体験に基づいた言葉で具体的なメリットを語れることが、導入を前向きに進めていただくための大きな後押しになっていると感じています」と倉本氏は手応えを口にする。
ユーザーとしての実感を伴った提案ができることで、商談の場で顧客の不安をやわらげ、確かな信頼の獲得へとつながっている。
図研プリサイト様が日立ソリューションズ東日本をパートナーとして評価しているのは、システムとしての完成度だけではない。
10年という歳月の中で、顧客が抱える課題に寄り添い、共に解決策を見出してきた「人の力」こそが、強固な連携を支える不可欠な要素となっている。
表計算ソフトなどを用いた管理が複雑化した顧客に対し、日立ソリューションズ東日本の担当者は、預かったデータをもとに念入りな準備を行う。
商談の場では、実際の管理内容を『SynViz S2』上で再構成し、現状の課題を可視化。そこへツール導入後の改善イメージを対比的に示すことで、顧客自身が「自社の業務がどう変わるのか」を直感的に理解できる提案へと仕上げていく。
--「実運用を的確に再現した説得力のあるデモンストレーションが抜群にうまいと感じています。単なるツールの紹介ではなく、自分たちの業務がどう変わるのかを目の当たりにできるからこそ、お客様の理解度と納得感は格段に高まるのです」と倉本氏は語る。
商談の最終局面で顧客が抱く「自社で本当に使いこなせるのか」という不安に対しても、技術的な裏付けをもって一つひとつ丁寧に解消していく。顧客が抱くわずかな疑念も放置せず、対面で正面から向き合い抜くその真摯な姿勢を、倉本氏は「接近戦」という言葉で高く評価する。
--「『接近戦になればなるほど、日立ソリューションズ東日本は強い』というのが、10年間の協業を通じて得た正直な実感です」と倉本氏は力を込めた。
提携開始から現在に至るまで、日立ソリューションズ東日本の案件対応を「ほぼ100点」と評し、厚い信頼を寄せている。
その理由は明快だ。
--「動じない、逃げない。ご相談した際に誠実に対応してくださる——そういった姿勢に、深い信頼感と安心感を覚えます」と倉本氏は語る。
日立ソリューションズ東日本のメンバーとのやり取りを通じて一貫して伝わってくるのは、「自社の製品(『SynViz S2』)に誇りを持っている」という強い情熱だ。実現のハードルが高い要望に対しても、「どうすれば実現できるか」を顧客と同じ立場に立って考え抜き、必要ならば時間をかけてデータを作り込む。
--「『SynViz S2』に真剣に向き合い続けているからこそ、懸命な取り組みができるのだと感じます。 製品に対する深い想いが伝わってきますね」と倉本氏は続ける。
製品への思い入れと高い対応力が一体となった姿勢。それこそが、10年という長期の協業が続く最大の理由にほかならない。
PLMによる「品目、構成、図面やドキュメントなどの製品情報」の管理と、『SynViz S2』による「スケジュール(時間/リソース)」の管理。この10年で整えた基盤を、今後はさらに製造現場の構造的な課題解決へと進化させていく。
現状、多くの製造現場ではリソース管理が後回しにされがちで、特定の担当者に負荷が集中する実態がある。特に個別受注生産においては、過去の工数実績を正確に把握できていないがゆえに、「この案件を受けられるか」という受注判断を経験や勘に頼らざるを得ない。
これが、納期遅延や採算悪化を招く大きな経営リスクとなっていた。
--「多くの現場では、課題と認識しながらも対処を先送りにしているケースは少なくありません。この状況を打破するには、過去のプロジェクト実績をデータとして蓄積し、客観的なアサイン(割り当て)の判断材料にすることが不可欠です」と倉本氏は指摘する。
そこで図研プリサイト様が描く次の構想が、『SynViz S2』に蓄積されたリソース実績情報をPLMと連動させ、受注判断の精度を高める仕組みの実現だ。このビジョンは、日立ソリューションズ東日本との対話の中から生まれたという。
--「日立ソリューションズ東日本社との対話からインスパイアされ、実績情報を新規受注時のリソース計画に活かす道筋が見えてきました。同席していた弊社の社長も『これはいい、すぐに検討するように』と、その場で指示が出たほどでした」と倉本氏は振り返る。
「何を作るか(モノ)」と「いつ・誰が・どの順番で進めるか(時間とリソース)」を一体で管理する。この基盤をさらに進化させ、製造現場が抱える構造的な課題の解決へ向けて、図研プリサイト様と日立ソリューションズ東日本の歩みは続く。
日立ソリューションズ東日本との協業を新たに検討する企業に対し、倉本氏がまず挙げるのは10年間一貫して維持されている案件対応力の高さだ。
--「高い水準の対応力を備えていらっしゃいます。案件相談への回答も的確で、安心して連携をスタートできるはずです」
さらに、対面・Web会議を問わず定期的な打ち合わせを重ねながら、営業プロセスの改善提案まで受けられる体制が整っている点も見逃せない。
--「『営業のこのプロセスをこう変えてみてはどうか』といった実務に踏み込んだ議論も、一緒になって取り組んでいただいています」と倉本氏は続ける。
製品サポートの枠を超え、ビジネス課題を共に考え、改善し合えるパートナーを求める企業にとって、図研プリサイト様の10年間はひとつの指標になるだろう。
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社名 |
株式会社図研プリサイト [ Zuken PreSight Inc. ] |
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設立 |
2016年4月1日 |
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所在地 |
〒224-0032 横浜市都筑区茅ヶ崎中央32-11 図研センター南ビル5F |
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資本金 |
3億円 (株式会社図研100%出資) |
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事業内容 |
・PLMソリューション「Visual BOM」の開発・販売 |
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