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テクニカルレポート第10号

2013年1月1日までに発表された論文については、本文中の記載が旧社名になっております。ご了承ください。

意思決定システムにおける最適化処理とリスク評価処理の時間配分の検討

遺伝的アルゴリズムとモンテカルロシミュレーションを組み合わせた意思決定システムでは、シミュレーション処理と最適化処理への時間配分の決定が重要となる。テークオーバー時間は遺伝的アルゴリズムの性能指標の一つであり、収束に要する時間を示す。このテークオーバー時間をもとにした選択効率という指標を導入し、最適な時間配分を検討した。数値実験により選択効率が最大のときに、最適化が最も速く進むことを確認した。この方法を意思決定支援ソリューションの分析、設計に適用することで、より良い意思決定案を得ることや、時間の制約が厳しい問題への適用することが可能となる。

差異分析による生産計画システムの運用改善

生産計画システムによって自動立案された生産計画は、計画担当者による手動調整を経て作業指図となり、製造を経て製造実績となる。この一連の業務プロセスにおいて、生産計画の制約条件や製造条件の変化により、生産計画を構成するロット情報や作業情報がしばしば変更されることになる。これは、自動立案、手動調整および製造といった各業務が、常に様々な変動の影響を受けるためである。製造業を取り巻く環境は、大きくかつ急激に変化している。こうした環境下で、生産効率を高め、スループットを維持・向上するために、生産計画システムには高い柔軟性と変化に対する追従性が要求される。そこで、手動調整の前後における生産計画の差異を分析し、システム改善指標を抽出する手法を確立した。今後は、本手法を活用し、生産計画業務のプロセスマネジメントをサービスメニュー化ていく。

化学プラント向け生産計画立案システムのテンプレート開発

化学プラント向け生産計画業務の計画変更作業では、業務特有のノウハウが多く、化学プラント特有の複雑な製造工程や生産順序などの多様な制約を考慮する必要がある。このため、システムが自動で計画変更を行ったのでは、計画担当者の意図する結果にならず、今までは、化学プラント向け生産計画業務に生産計画システムを適用しても十分な導入効果を得ることが困難であった。
(株)日立東日本ソリューションズでは、この課題に対して、ガントチャート上で計画担当者が対話を行いながら、半自動で生産計画を立案するソリューションを開発した。これが化学プラント向け生産計画立案システムのテンプレート(以下、ケミカルテンプレートと呼ぶ)である。
本報告では、化学プラントの生産計画の特徴を述べるとともに、(株)日立東日本ソリューションズが提供するケミカルテンプレートの機能と今後の展開について述べる。

セマンティクス自動抽出によるエンタープライズオントロジの構築

知識体系の可視化による情報共有システムの有効利用を目的として、エンタープライズオントロジの構築手法を提案した。本手法は、組織の知識には共有知識と個別知識が存在すると仮定し、両者の関係を規定することで共有-個別知識マップを作成するモデルに基づいている。このモデルに基づき、イントラネットでの知識体系共有システムのプロトタイプを作成し、オントロジに対しユーザの意思を反映させるための方式を検討した。プロトタイプを社内情報に適用したところ、オントロジ構築における従来の課題が改善され、その有効性が示唆された。

プラットフォーム移行診断サービスの実績と今後の展開

(株)日立東日本ソリューションズでは、情報システムに対するプラットフォーム移行診断サービスを(株)日立製作所プラットフォームソリューション事業部を通じて提供中である。しかし現在のサービスは、移行作業量の見積りや修正作業を支援するが、修正作業量そのものを削減できないため、移行作業のコスト低減には限界がある。
今後は、情報システムの移行作業量を削減し移行作業のコストを更に低減するマルチプラットフォーム共通化設計支援サービスの提供も視野に入れ、プラットフォーム移行ソリューションの更なる展開を図っていく。

人事ソリューションの実績と今後の展望

(株)日立東日本ソリューションズでは、会社や公共団体の人事部門が取り扱う業務のうち、人事異動に関する業務や社員、職員の育成に関する業務をきめ細かくサポートする人事ソリューションを提供している。
人事ソリューションは、人事情報システムと連携して稼動する。導入頂いた顧客では、「人事異動案の作成、教育受講や資格試験受験の管理などの工数が削減できた」、「社員、職員のスキルが把握しやすくなった」などの評価が得られている。
人事ソリューションで提供するアプリケーションソフトウェアのうち、人事企画アシスタントは28サイト、人材育成支援システムは2サイトで導入されている。人事企画アシスタントは地方公共団体への導入例が多い。
ソリューションの今後の拡充に向け、プロジェクト組織編成に際し、組織内で蓄積されてきた、人事異動や人材育成に関する情報を有効に活用頂くことを狙いとし、研究開発に取り組んでいる。

地方公共団体向け電子収納ソリューションビジネスの展開

(株)日立東日本ソリューションズ(以下、当社と記す)は、マルチペイメントネットワーク(以下MPNと記す)接続をベースに、地方公共団体(以下、地公体と記す)向けの電子納付システムの構築・運用を進めてきた。MPNは金融機関を収納窓口とした全国共通な仕様にて電子決済を行うネットワークである。MPNを始めとした全国一律となる新しい方式へ対応するためには、これまで指定金融機関制度という、独特の収納方式を実施していた地公体にとり、非常に大きなハードルがある。この問題を解消すべく、地公体の収納業務に係わる業務の見直しを行った結果、指定金融機関が行っている公金収納業務を取り込む必要性を見出すに至った。
2004年、当社では、この収納業務を取り込んだ電子収納ソリューションを開発し、地公体を対象とした電子納付システムの構築を支援する体制を整備した。この電子収納ソリューションは、母体となる製品とこれを支えるサービス体系から構成されている。現時点では、都道府県を主要市場と考え、日立製作所との連携のもとに構築型を中心とした事業展開を開始、また今後に見込まれる市町村ビジネス展開についても検討を始めている。

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