新型コロナウィルス感染症は経済に大きな打撃を与えるとともに人々の生活様式やビジネス様式に大きな変革をもたらした。新しい生活様式とビジネス様式とそれを支える新技術の活用によって社会課題の解決も期待される。 (株)日立ソリューションズ東日本は地域の社会課題を解決しつつ,事業を拡大し,地域社会に貢献する事業戦略を策定し,ライフスタイル・トランスフォーメーション(LX),プロダクティビティ・トランスフォーメーション(PX),ビジネス・レジリエンス・トランスフォーメーション(BRX) の三つの事業分野を重点ワクワク分野すなわち今後の重点強化分野と定めた。これらの事業分野は個々の部門が持つ能力を組み合わせて新たな能力を獲得,創出するダイナミック・ケイパビリティを高めるDX 活動により強化,推進される。また,投資家や社会からのESG への強い要請にもとづきSX 活動を強化することで,社会課題との関係の深いLX,PX,BRX 分野の新事業推進につながる。
(株)日立ソリューションズ東日本(HSE) は,1992年にSCM(Supply ChainManagement) 関連ソリューションビジネスを開始して以来,生産計画領域で様々なソリューションを適用してきた。2000年にはSynPLA,2004年にはSynPIX をリリースし,様々な業種の企業に対して導入を行ってきた。さらなるビジネス拡大の施策としてSynPIXとSynPLAの2 つの製品を統合した新製品をリリースし,Web技術をベースとした新しいソリューションの展開を予定している。本稿では,新ソリューションで対応した内容について述べる。
近年,デジタルトランスフォーメーション(DX)は世界的な潮流となっており,各企業が取組を進めている。既存システムの老朽化,リモートワークを前提とした働き方などの課題を抱えており,DX 推進が急務である。(株)日立ソリューションズ東日本(HSE)は,2016年4月に業務アプリケーション構築プラットフォームである「AppSQUARE」をリリースした。本製品は,適用ターゲットを社内業務中心としていたが,DX に求められる新たなニーズに対応した新製品の開発に取り組んでいる。これまでのパッケージ販売・オンプレミスのビジネスモデルからクラウドサービス型のビジネスモデルにシフトすることで,企業のDX を加速させるソリューションを展開していく。本稿では,マイクロサービス設計を採用した新製品「AppSQUARE/DX」の特長,および今後の事業展開について述べる。
(株)日立ソリューションズ東日本は,国立大学法人福井大学および,国立高等専門学校機構福井工業高等専門学校と共同研究の位置付けで,特別支援を必要とする児童,保護者,学校および支援機関を連携する,ICT を用いた個別教育支援システムについて,2021年11月より福井県内において実証実験を開始した。学校・家庭・支援機関の連携による個別教育支援から,就労につながるスキルの獲得,個人毎に異なる多様な障がいについて,様々な視点から特別支援が必要な方それぞれの個性にあった支援の実現を目指すことで,SDGs推進に寄与できるものと考える。本実証実験により,システムの社会実装に向けた各種課題の洗出しや今後の展開を検討する予定である。
株式会社日立ソリューションズ東日本(HSE)と北海道大学認定ベンチャー企業の株式会社調和技研(調和技研)は,コールセンターの業務効率化の取組みとして,AIとRPA技術の適用について検証した結果を受け,ニューノーマル時代に対応したコールセンター向け業務効率化ソリューションとして実用化し,2021年度より提供を開始した。本稿では,最前線の現場に喜ばれるAIソリューション活用術と事例について述べる。
(株)日立ソリューションズ東日本(HSE) では,製造現場の生産性向上ソリューションWellLine( ウェルライン) を2019年より提供している。設備稼動実績と工程実績のデータを収集し分析することで,設備稼動率などの生産性改善手段を提供する。しかし,この2つのデータはそれぞれ独立して記録されるデータであり,関連付けて管理していないため,現場の生産性改善に有用な分析を行えない課題がある。この2つのデータを設備と日時の情報に基づき紐付けることによってこの課題を解決でき,より生産性改善につながる分析を行うことができるとわかった。今後,WellLineのエンハンスを行い,多くのお客様へ提供していく。
在庫の管理は製造業の重要な業務の一つであり在庫の状況を診断し,問題が発生しそうな場合には早期に手を打つことが必要である。在庫状態は,在庫回転率,在庫日数,欠品率,即納率,バックオーダ解消日数などの様々な指標を組み合わせて診断する必要があり,経験と知識の両方が必要とされる。そこで,誰でも熟練した在庫管理専門家と同じように在庫水準の診断ができるAIモデルを用いた在庫診断技術が研究されている。このAIモデルをある製造業者の在庫管理で実証を行ったところ,約80%の精度で人間と同じ評価が可能であった。しかし別の製造業者に適用したところ,その精度は60%まで低下した。そこで,両社で扱う製品の需要特性の違いに着目し,評価精度の改善を行った。AIモデルに入力するデータのスケール変換の見直し,0値の扱いの見直しという二つの改善案を考案した。この改善を取り入れたAIモデルの精度評価を行ったところ,診断精度が60%から80%まで改善できることを確認した。
ものづくり業界の企業にとって,パートナ企業との連携強化は経営上の重要な課題である。これを達成するために,高い技術力を持つパートナを全社で活用していくことが望ましいが,部門ごとに顧客属性・仕事の進め方・要求スキル等が異なるため,他部門のパートナと自部門のプロジェクトの適合度を判断することは難しい。本稿では,以上の課題を解決するために現在研究している,パートナとプロジェクトの適合度を予測するマッチング技術を紹介する。提案手法に対して,マッチング実績の実データを用いた評価を行い,同一部門内のペアの適合度を高精度に予測できることを確認した。今後,実用化に向けて,異なる部門に属するペアの予測精度の改善を行っていく。
住設機器メーカでは,訪問修理サービスでの顧客満足度の向上や,コスト削減が課題となっている。訪問修理では,受付時のヒアリングや訪問時の状況確認により不具合の内容を把握し,それをもとに不具合の原因を特定する。しかし,現状では修理エンジニアの経験に依存しているため,原因を特定できず,処置を行わないで完了となるケースが問題となっている。本稿では,AI により不具合の原因の特定を支援するシステムを提案する。住設機器メーカのデータを用いて既存のAI技術の精度を評価した結果,76.8%の正解率で受付時の情報から不具合の原因を推定できることが分かった。一方,既存技術では異なる商品の類似事例を抽出できない課題があるため,その改善案を提案する。
(株)日立ソリューションズ東日本(HSE) は,Supply Chain Management (SCM)領域の人材育成支援のため,2019 年,座学型のASCM APICS(APICS)CPIM Part 1/CSCPレビューコース及び経験学習型のThe Fresh Connection(TFC)ビジネスシミュレーション研修コースの提供を開始した。同コースは,2021年12月迄に50社以上に利用され,一定の満足度評価を頂いている。一方で,時間と費用を抑えたコース提供ニーズが確認された。そこでHSEは,所用時間・費用を抑えた「SCM 基礎」コースを整備し,提供を開始した。同コースの,受講者の評価に基づく受講者視点での有効性,及び受講者と非受講者間のTFCビジネスシミュレーション研修の経営成績の差異比較に基づく客観的視点での有効性を検証し,その有効性を確かめた。また,同コースは,オンライン教育ニーズが高まる中,(株)日立アカデミー(日立AC) がe-Learning 化し,2021年10月より提供を開始した。HSEは,今後もメニュー拡充,オンライン対応等改善に取り組み,お客様の人材育成への貢献,SCM関連事業の発展に尽力する。
日立ソリューションズ東日本についてご質問など、お問い合わせはこちら。
お気軽にご相談ください。