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Hitachi

日立ソリューションズ東日本

パラマウントベッド株式会社 様

供給計画業務を統合し迅速な意思決定を支援する
統合供給計画ソリューション「scSQUARE ISP」

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製品に関するお知らせ

製品名は、インタビュー当時の製品名を記載しております。
「SynPLA」は現在、後継製品「scSQUARE ISP」に移行しています。

パラマウントベッド株式会社 様

工場

出口の見えない不況が続く中、企業は必死の生き残り策を模索している。とりわけ製造業においては、リードタイムの短縮、作業の効率化、コストダウンは必須の業務課題となっている。だが、ERPを導入し生産計画立案まではシステム化するものの、ラインの生産スケジュールになると、人手にまかせているメーカーはまだ多い。表計算ソフトで工程指示を出す程度で、精度の高い指示はできていないのが現状だ。

パラマウントベッドの工場でも以前は、溶接、塗装、組立の3つの島(生産セクション)があり、各々の島が生産計画システムから出された指示に従い、部品をまとめて溶接し、塗装し、組み立てていた。その結果、島ごとに工程間在庫が山積みになり、1台のベッドが完成するまで5日間も要していた。

そこで同社では、島間の部品輸送のために、使っていたコンベヤー式のハンガーに着目し、そのハンガーを搬送手段としてベッドを1台単位で組み立てていく「ハンガープラン」を構築。リードタイムは5日から6時間へ、工程内在庫63%削減、塗装費24%削減など、革命的な効果を実現した。

導入のポイント

  • 工場再編を機に、ラインのスケジュールシステムを構築
  • 搬送用ハンガーに部品をぶら下げ、連続的に工程間を搬送
  • ハンガーにぶら下げる部品の指示を「生産計画スケジューラ SynPLA」で立案
  • CCDカメラで進捗状況を把握し、稼働率を蓄積。導入の効果

導入の効果

  • 製造リードタイムは5日間から6時間へ
  • 工程間の在庫63%削減
  • 内作費10% 内塗装関係費24%のコストダウン
  • 電力使用量30%削減、産廃量60%削減するなど環境にも貢献

パラマウントベッド 橋様、後藤様
パラマウントベッド株式会社 本社 システム統括部 部長 橋 憲一郎 氏
パラマウントベッド株式会社 千葉工場 工程管理課 主管課長 後藤 勝徳 氏

市場縮小に対応して工場を再編

パラマウントベッド様ハンガープラン

医療・介護用ベッドにおいて圧倒的なシェアを誇るパラマウントベッド。業界に先駆けて在宅介護用ベッド「アウラ電動ベッド」を開発するなど、日本の医療の進展と共に、業績を拡大させてきた。最近では、安全性を高め、最新JIS規格を認証取得した超低床タイプの介護用電動ベッド「楽匠(らくしょう)~Sシリーズ~」を製品化し、ベストセラーとなっている。
着実に成長を続けてきた同社であるが、医療保険制度や介護保険制度の改正により、医療・介護用ベッドの市場が大幅に縮小、2006年から生産台数が落ち込んでしまった。

そこで進めたのが工場再編である。それまで同社には千葉地域に3つの工場があった。病院向けの医療用ベッドを「白色」と呼び、これを千葉工場で生産。住宅介護用のものは白以外の色が塗布されていることから、「多色」と呼び大平工場で生産していた。このほかマットレスやICUベッド等を松尾工場で生産していた。同社では製造工程の効率化のために大平工場のラインを千葉工場に統合し、縮小した市場に対応していくことに決定した。

課題はリードタイムの短縮と工程間在庫の削減

パラマウントベッド橋様
橋 憲一郎 氏

ラインの統合とそのシステム化を担当した同社 本社 システム統括部 部長 橋 憲一郎 氏は、現場を見て「5日間ものリードタイムと大量の工程間在庫は何とかしなければならない」と、決意した。
ベッドの製造は、ベッドの部品を作る「溶接」、部品に塗布加工をする「塗装」、完成した部品を組み立ててベッドを完成させる「組立」の3つの工程に分かれる。

これらそれぞれの工程に生産計画システムから生産指示が出され、各現場ではロット単位でまとめて作業していた。「塗装」と「組立」においては、ある程度まとまってから作業を開始するため、「溶接」と「塗装」、「塗装」と「組立」間では大量の部品在庫が滞留していた。当然、完成するまで時間がかかり、1台のベッドに5日間ものリードタイムがかかっていた。橋氏はすぐには名案が浮かばず、頭を抱えた。

--「ボトルネックは『塗装』工程であることはわかりました。『溶接』と『組立』はラインの工夫である程度スピード化できるかもしれない。しかし、『溶接』工程で止まってしまいます……」(橋氏)。

コンベヤー式のハンガーに着目

パラマウントベッド様ハンガープラン

そんなとき着目したのが、部品を輸送するために使っているコンベヤー式のハンガーであった。

--「このハンガーに部品をぶら下げ、1台単位に作るというのはどうだろう。今までは効率化ということで、数十台から数百台のベッドを現場単位でバッチ式に作っている。この発想を逆転し、1台単位にハンガーにぶら下げ、順に製造していく……」。こうして、考えついたのが同社独自の「ハンガープラン」であった。
ベッド数台を1サイクルとして、ハンガーに部品を次々ぶら下げ、シームレス(繋ぎ目なし)に流していく。

パラマウントベッド橋様

--「一度ハンガーに着荷したら最終工程の組立用の台に脱荷するまで降ろさない。降ろさなければ在庫も取り置きのムダも発生しないし、シームレスにハンガーは流れていくから、リードタイムは劇的に短縮できます。理論的には6時間で1台のベッドが完成するはずです」(橋氏)。
こうして完成した構想が「同期一貫生産プラン」(白色ライン)である。
一方、多色ものは、色々な色の部品をまとめて塗装するため調整時間が必要だ。塗装色変更の段取前後で部品の積み替えが多少必要なことから、それだけ時間がかかり、それを3時間としてリードタイムは8時間。こちらも「同調一貫生産プラン」としてライン化のメドがついた。

豊富なノウハウに期待して「生産計画スケジューラ SynPLA」を採用

パラマウントベッド後藤様
後藤 勝徳 氏

こうしてハンガープランの構想がまとまった。だが、生産計画システムから指示されたベッドの台数と部品表を受け、ハンガーへの最も効率的な着荷および脱荷指示を、誰が出すのか。とてもこれは人手では不可能である。
そこで同社では、このようなスケジューリングやシミュレーションに対応できるパッケージを探すことにした。

--「この構想がまとまり、システム構築に着手する頃は、もう2007年7月になっていました。手作りも考えられたのですが、処理時間の制限からパッケージを探すことにしました」と、同社 千葉工場 工程管理課 主管課長 後藤 勝徳 氏は振り返る。

ここで国内外のパッケージ3本が候補となり、最終的に選ばれたのが日立ソリューションズ東日本の生産計画スケジューラ「SynPLA」であった。

--「選定の理由はERPから出される生産計画や製品構成の変更指示に柔軟に対応できること。
当社は一度立案した生産計画が度々変更されますし、設計変更に伴い例えば、A→A'へというような部品構成切替も製品トレースの関係上細かく管理しています。これが、他社のパッケージでは対応に手間がかかりました」
と、後藤氏はSynPLAの柔軟性を認める。

--「もう1つの理由は日立ソリューションズ東日本の生産計画における豊富なノウハウです。これまでも何度かお願いしたことがありますが、ここなら間違いがないというほどの経験とノウハウを持っています」と、橋氏も日立ソリューションズ東日本を認める。

CCDカメラで進捗状況を把握

パラマウントベッド後藤様

白色ライン「同期一貫生産プラン」は13ハンガーを1サイクルにして、3種類のベッドを4から5台、製造する。溶接工程では溶接終了後の部品を指定されたハンガーに次々とぶら下げ、塗装工程では一気に白く塗装する。乾燥工程を経て、組立工程でハンガーから脱荷され、組立用の台に乗せられて、部品が取り付けられ、ベッドが完成。そのまま倉庫へ運搬され、トラックへの荷積みを待つ。多色ライン「同調一貫生産プラン」も基本は同じである。
着荷や脱荷等の指示は、タッチパネル画面に指示が出され、ペーパレスを実現。また、ハンガーにはIDナンバープレートが付着され、それをCCDカメラで読み取り、生産ラインの状況を把握し、稼働率のデータとして蓄積している。これらの仕組みを具体化するため、日立習志野工場の現場端末導入の事例を見学に出向いたりもしている。以上の構想がまとまり、次に取り組んだのが経営層への提案である。

--「以前に、工場でスケジュールシステムを導入して失敗しています。それに懲りており、ここまでやる必要があるのか、人手でカバーできないかという声もありましたが、システムの必要性を毎月の会議で訴え、最終的に認められました」と、後藤氏は苦笑いする。

生産数の増減に柔軟に対応

パラマウントベッド後藤様

「同期一貫生産プラン」は2008年5月から稼働を開始。

--「タッチパネルからの指示どおりに現場で作業できるか、正直不安でした。そのために、日々の未達分を毎日リスケジュールする業務フローを用意しました。ところが、ほとんど指示通りに間違いなく1台ずつ着荷でき、立ち上げ後3ヶ月で安定生産できるようになりました」(後藤氏)。

--「確かに現場からも不安視されましたが、予想どおりの効果を出すことができました。これを受けて翌2009年4月からは多色の『同調一貫生産プラン』も稼働しています」(橋氏)。

13ハンガーを1サイクルにしていたが、生産数の増減に応じて12ハンガー等1サイクルのハンガー数を変更することも可能だ。

--「日立ソリューションズ東日本の提案で、ハンガー数をマスターで管理し、このような柔軟な変更もできるようになっています」(橋氏)。

また、白色ラインの工員を時間単位で多色ラインに移動させるなど、繁忙期による作業量の違いを最適化している。

--「2つのラインが同じ工場で流れているからできたことです。前のように別工場であれば、簡単に人の移動ができませんでした」と、橋氏は語る。

工場内の最適化から物流も含めた全体最適へ

パラマウントベッド後藤様

これら新ラインによる導入効果には、目を見張るものがある。製造リードタイムは5日間から6時間へ(白色ライン)、工程内の在庫63%削減。コストダウンでは内作費10% 内塗装関係費24%を実現している。また、溶剤系塗料を廃止すると共に産廃量を60%削減するなど環境にも貢献。電力使用量も30%削減できた。これらの効果が認められ、社内での表彰の対象にもなった。

--「当社の競争力をさらに強固なものにするためには、製造工程のリードタイム最適化に加え、さらに販売、調達連携で効率化・システム化が必要と考えています」と、橋氏は抱負を語る。

日立ソリューションズ東日本はトータルな計画システムにも卓越したノウハウを持っており、今後とも大きな期待が寄せられている。

お客さまプロフィール

パラマウントベッド様社名ロゴ

社名

パラマウントベッド株式会社

創立

1947(昭和22)年5月

本社

〒136-8670 東京都江東区東砂2丁目14番5号

資本金

65億9,132万円

従業員数

785名(2009年3月31日現在)

ホームページアドレス

https://www.paramount.co.jp/

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日本トップシェアを誇る医療・介護用ベッドメーカー。
「先進の技術と優しさで、快適なヘルスケア環境を創造します」を企業理念に、ベッドだけではなくさまざまな福祉用具も開発し業界をリードしています。製造・販売のほかにリース、レンタル、保守、修理にも対応。生産・販売拠点を中国、インドネシア、フランスに置き、海外90ヵ国へ進出しているグローバル企業でもあります。

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