ページの本文へ

Hitachi

日立ソリューションズ東日本

第1回 日用品「需要予測が当たらない?」
二つの理由

在庫管理・在庫削減なら「SynCAS PSI Visualizer」

1.日用品とは

 日用品(にちようひん)とは一般的に、食料品や衣料品などを除いた、人が日々生活していくために必要な消費財のことを指します。
日用品は大きく分けて、年間を通じ平均的に消費されるカテゴリーと、季節や気温の変化、または行事等が深く関係する季節性カテゴリーとの二つに分類されます。

 年間を通じ平均的に消費される分類には、洗濯用洗剤・用品、 住宅用洗剤・用品、 台所用洗剤・用品、風呂用洗剤・用品、トイレ用洗剤・用品、掃除用品、オーラルケア用品、トイレタリー用品 、スキンケア用品、ヘアケア用品、フェイスケア用品、シェービング用品、化粧品、消臭剤・芳香剤などがあり、これらの商品は人間が生活する上で年間を通して殆ど定期的に消費されます。
一方季節性の強いカテゴリーは、冬のカイロ、入浴剤。春からは殺虫剤及び殺虫関連日用品。季節の変わり目に防虫剤、除湿剤。お彼岸や盆暮れにはろうそく・線香などがこの分類に入ります。繁忙期と閑散期では何倍、何十倍も消費量の違いが発生します。

2.消費者から見た 本当の需要は変わらない

 実は日用品の消費量は、商品それぞれの個性はあっても大きな変化はないのです。例えば歯磨き粉は多くの人は日に二回、朝夕歯を磨きます。熱くても寒くても、ボーナスが入ってもお金が無い時も、毎日同じように歯を磨くのです。歯磨き一回分の量は1.5g。一日2回の歯磨き回数で3g。一年間で1,095g、商品パッケージ本数では約8本、日本中で10億本です。シャンプーも同じようにポンプで500ml入りの場合ワンプッシュで3ml。一回使用量6mlで年間2,190mlになります。この数は何月でも、何年でも大きく変化しません。

 実は季節性の強い商品でも、月別の比較では大きな変化があっても、年間での比較をすると殆ど消費量に変わりはないのです。6月に消費される除湿剤は、8月には消費が無くなっても、翌年の6月にはまた同じように消費されます。実は日用品のカテゴリー別の需要量は、本当は大きく変化していないのが実態です。(図1)

 では、何故メーカー各社は大きく需要予測が狂い、安全在庫の設定が難しいと言われるのでしょうか。

図1.平均を100とした月間消費増減率の推移
図1.平均を100とした月間消費増減率の推移(歯磨き粉)

3.メーカーの需要予測を狂わす2つの理由

(1)チャレンジ精神が予測を狂わす

 図2では、店頭での消費量とメーカーから出荷される量を比較してみました。赤線は店頭での消費量(本当の需要量)を示しており、月別の推移は安定しているのに対し、青線のメーカーからの出荷量は大きく波動しています。
この青線の波動を予測するのが、メーカーの需要予測ですが、消費が安定しているのに、何故このような現象が発生するのでしょう。

図2.店頭の消費量とメーカーからの出荷量比較
図2.店頭の消費量とメーカーからの出荷量比較

 それは売上げを拡大しようとする活動と、中間流通や店頭に在庫スペースがあることが要因と言えます。来年度は販売成長率10%に挑戦します。グラフでは5月に108を中間流通に販売しています。しかし消費者確保がプラス10%にいかなければ店頭では消化されず、翌月は93となり二ヶ月平均は約100となります。7月と8月の平均も約100、9月と10月も同じです。最後の3月は148、その結果4月は58になってしまっています。本当の需要とは関係なく、実は在庫が移動しているだけなのです。この要因はメーカーの事業拡張意欲で、結局は自分達の予測を狂わせていると言えます。

(2)各部門のKPIと、生産計画と販売計画のタイムラグが予測を狂わす

 一般的な営業部門のKPIは目標販売額と利益の確保です。目標の販売額を確保するためには、日々の実績を見ながら売り方の是正を行い、「手を変え・品を変え」目標達成に向けて活動しています。この言葉の通り、営業は目標に向けて「売る品を変えて」しまうのです。生産部門は当初の販売計画通りに生産しています。営業が最終的に販売SKU(Stock Keeping Unit:在庫保管単位)を確定する時と、生産部門が生産SKUを確定する時のタイムラグが、予測を狂わせる第二の要因となっています。すなわち、生産部が入手する販売計画は、営業にとってチャレンジ目標であり、信用できない構造になっているのが実態なのです。この状態は、濃い霧の中で尾根を歩くようなものだと言えます。

4.サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)の仕事

 SCMは日本語では供給連鎖管理となります。米国のサプライチェーンカウンシル(英語版)による定義では、「価値提供活動の初めから終わりまで、つまり原材料の供給者から最終需要者に至る全過程の個々の業務プロセスを、一つのビジネスプロセスとしてとらえ直し、企業や組織の壁を越えてプロセスの全体最適化を継続的に行い、製品・サービスの顧客付加価値を高め、企業に高収益をもたらす戦略的な経営管理手法」と非常に難しいことをおっしゃっています。簡単に言うと、複数の企業間・部門間で統合的にPSI(生産・販売・在庫)システムを連携させることで無駄を削減し、消費者に還元することで競合との競争力を高めることかな、と思っています。

 何にしてもここでの問題点は、SCM部門は自分で生産をしているわけではなく、販売もしていないと言うことです。販売計画と在庫をもとに生産数量を算出し、調整をしている部門です。調整とは、現状を分析して未来を予測し、説明と証明をしなければなりません。時として一部の部署では、現在のKPIを悪化させる場合も発生します。これらを説得し動いてもらう為には、現状を正確に理解してもらい、協力するしかないと思わせる根拠が必要となります。しかし現状は濃い霧の中なのです。

 霧の中で何を参考に説得すればよいのか。そこが最大の焦点になります。精度の良い調整することが可能なナビゲーションのシステムは無いのか。試行錯誤の上で考案されたのが「PSI Visualizer」です。Production(生産)、Sales(販売)、Inventory(在庫)を同時に可視化することで、問題在庫の早期発見、適正在庫数量の検証、販売の未来予測などを自動計算し、欠品抑制と在庫適正化を実現します。そこで第二回目から、「PSI Visualizer」を活用し、どのように在庫を適正化しているか。SKU別のPSIバランスをどのように見ているかの事例をお伝えします。

次回のコラム

第2回 生・販・在 可視化と日次管理の必要性(1)

1.生産・販売・在庫の実態把握が困難な理由

  • (1) 決算書では正しく評価されていない在庫管理
  • (2) 月次管理でも在庫判断は不十分の証明
  • (3) Excel表では生・販・在を把握するのは困難

お問い合わせ・資料請求

SynCAS PSI Visualizer
  • 製品の特長などをまとめた製品紹介資料
  • 導入されたお客様の具体的な成功事例もご覧いただけます
    効率的な在庫コントロールを実現した「消費財メーカーA社様」、
    在庫を約30%も削減した「オリンパス様」、半年で在庫を約20%も削減した「大倉工業様」など

その他、デモ・トライアル・導入相談など、お問い合わせも受け付けております


TOP